普段使っている時計をふと見ると、ほこりがついている?服の袖などで拭き取ってみても拭き取れない…目を凝らして確認すると、ガラス面の内側についている…
こんな経験された事はありませんか。
小さなほこりだし、目立つ訳でもありません。でも気になってしまいますね。密閉した空間であるはずなのに、どうしてほこりが入ってしまったのか。
今回はほこりが入ってしまう原因や、時計店で取り除いてくれるかなどの、対処について解説していきたいと思います。
どうして時計内部の文字盤にほこりが入ってしまうの?
時計内部にほこりが混入する原因として、多いのはこの2点です。
竜頭とは、時計の3時の位置についている、突起したボタンです。
時刻合わせを行う時は、竜頭を引き上げて操作するのですが、引き上げた時にケースと竜頭の間に隙間ができてしまい、その隙間からほこり等が入ってしまう可能性があるのです。
「裏蓋を開けた時」は具体的にいうと、電池交換等を行う時です。時計の裏蓋を開け、電池を入れ替えます。短時間かもしれませんが、密閉された空間ではないタイミングがあるのです。
それぞれ2つの要因の詳細について確認していきましょう。
原因1:竜頭の隙間から
竜頭は時刻合わせを行う際に、引き上げ操作します。この時にケースに若干の隙間ができます。この隙間から混入する事があるのです。
入り込んだほこりは、文字盤とは裏側に入ってきているのですが、時間を掛けて、巡りに巡って文字盤側に出てきてしまいます。
とはいえ可能性は低いです。竜頭の隙間といっても、竜頭回りに防水用にパッキンがつけられている事が多いからです。このパッキンが機能していれば、ほこりも入り込む事はできません。
つまり竜頭を引き上げた時にプラスして、竜頭回りのパッキンが劣化している時に、混入してしまうのです。
因みにですがアンティーク時計等の古い時計は、竜頭回りにパッキンがないものも存在します。
パッキンの痛みを鑑みると、時計のメンテナンス不足である事も考えらなくもありません。
原因2:電池交換等で時計を開けた際にほこりが混入した。
クオーツ時計であれば2-3年に1回は電池交換が必要です。この電池交換の際、裏蓋を開ける必要があります。
裏蓋を開けた時は裏側のムーブメントがむき出しの状態です。このタイミングで、ほこりがついてしまう事があります。
スマートフォンで、保護フィルムを貼った事はありませんか。綺麗にしているつもりでも、小さなほこりがフィルムについたまま貼ってしまった、こんな経験されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
小さなほこりは気を付けていても、浮遊しているものなのです。裏蓋を開けたムーブメントにほこりがつく可能性はゼロではありません。
時計の作りが甘いものには裏蓋を開けたとたんにケースからも外れ、ほこりがダイレクトに文字盤側にはいりやすいモデルもあります。
裏蓋分の面積が開いてしまうので、竜頭の隙間に比べるとほこりが入りやすいかもしれません。それだけに裏蓋を開けるような作業は、時計店等の修理のプロに任せた方が良いです。
自分自身で電池交換される時は、ほこりにも注意しましょう。
時計の内部(文字盤)に付着したほこりは取ってもらえる?料金はどれくらい?
時計店に修理を依頼すれば受けてもらえるかと思われます。修理料金は「外れた針の取り付け修理」に近い値段になる店舗が多いです。
時計の針の再取り付けと、文字盤や風防の裏についたほこりをとる作業の手間が、同じ位であるからです。
「針の取り付け」も「ほこりをとる」のも、時計ケースより文字盤を外してしまないといけません。針の取り付けがない分、ほこりを取る方が易しいかもしれません。
修理料金の相場はこちらになります。時計店に任せた場合の相場です。
料金は、時計ケースから文字盤とムーブメントを取り外す難易度によって変わってくるかと思われます。まずは見積りしてもらっては如何でしょうか。
正規店でも時計の内部に付着したほこりはもらえるもの
正規店でも当然対応してくれます。しかし料金は割高です。
但し正規店ではほこりを取り除く修理ではなく、防水機能の維持や点検も含めた点検パック内でほこりも取れてくるといった所でしょうか。
「それなら修理の安い時計店に任せたい!」と思ってしまいますよね。なるべく安く済ませたいものです。
でももし高ブランドの時計や高機能の時計、例えばダイバーズウォッチ等であれば正規店も一考の価値ありです。
防水機能等を失いたくない等の、より安心を求めるのであれば正規店をお勧めします。
料金が高めですので、ほこりのみの取り除くのではなく、オーバーホールや電池交換等の定期的なメンテナンス時に、一緒に行ってもらうとお得なのかもしれませんね。
自分自身で文字盤に付着したほこりを取り除く事はできる?
可能ではありますが、難易度はかなり高めです。ケースから文字盤を外してしまうまで時計を分解してしまわないといけないからです。更に時計を分解するには、時計の工具が必要になってきます。
時計の工具を買い揃える費用、自分自身で時計を分解するリスクを踏まえると余りお勧めはできません。ほこりを取るだけの為に工具を揃えるのも、もったいないです。
因みに時計ケースから文字盤を外すタイプはこの2パターンが多いです。
- 裏蓋を外す
- 竜頭を外す
- ケースとムーブメントを止めているネジを取り外す
- 前面のベゼルを取り外す
- 風防を取り外す
どちらのパターンは見極め、取り外しを行わなくてはなりません、上手く取り外せたとしても、また組み立てるのが大変です。しかもほこりの混入の危険もあります…
時計修理用の工具を揃えても、頻繁には使わないのではないでしょうか。また分解するリスクを考えると、自分自身でほこりを取るのは止めておいた方が良いような気がします。
時計内部にホコリが入ってこないために気を付けたい事
ほこり混入の原因である「竜頭の隙間から」「裏蓋を開けた時」はある意味、不可抗力のようにも思えます。
特に「裏蓋を開けた時」は自分自身で作業しないのであれば、修理をしてくれる人に委ねてしまう事になります。
それでも気をつけるというのであれば、定期的なメンテナンスを行う事ではないでしょうか。メンテナンスを行えば、傷んでいればパッキン類は交換してくれます。
密閉性を維持するという意味合いでは、ほこりから時計を守る効果はあるのではないでしょうか。
因みにパッキンは交換しないで使い続けると、どうなってしまうのでしょうか。
私は数多くのアンティーク時計を見てきたのですが、ゴムが劣化すると弾力がなくなっていき、硬化します。
「カチカチ」に硬化した時点で、パッキンの役目は果たさなくなっています。さらに使い続ければ、パッキンはひび割れや亀裂してしまいます。
ここまで傷んでしまうと、ほこり以前に防水性もありません。
パッキン等の消耗品の交換は、ほこりから守るにも有効です。逆に言えばほこりが時計内部に入っている事はメンテナンスの時期と判断できるかもしれませんね。
まとめ
今回は文字盤や風防の内側にほこりが入っていた場合の対応について解説してみました。「ほこり位で…」と時計店で修理してもらうのには…、と少々遠慮もしてしまいそうですが一度目についてしまうと気になって仕方がありません。
ただ故障とは違い、緊急性もないので何かの折に見積りしてもらう位にどっしりと構えていても良い様に思えます。
こちらは最安の値段になります。高級ブランドや高機能の時計になる程、値段は高くなりますのでまずはお見積りでご確認されてみて下さい。
我慢できるのであれば、オーバーホールまで待つのも良いかもしれません。
オーバーホールは完全に時計を分解してしまい、清掃を行いますのでほこりも一緒にとってくれます。
当店でも修理やオーバーホールを行っております。お気軽にお問い合わせください。