自動巻き腕時計は、便利でとても使いやすいですね。ローターの自動巻き機能プラス手巻き機能、2つの機能で時計が止まらない様に工夫されています。
でも気になってくる事はありませんか。ゼンマイはいくらでも巻き上げられますし、更に腕に装着していれば、ローターが回る度に自動でゼンマイを巻いてくれます。
こんな疑問を持たれている方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
今回は自動巻き腕時計の、ゼンマイが切れた場合の症状と原因について解説していきたいと思います。
機械式腕時計のゼンマイの役割とは
ゼンマイは、時計の動力源です。ゼンマイを巻き上げると元に戻ろうとする力が発生します。
このゼンマイが元に戻ろうとする力を動力に、時計は動作しているのです。ゼンマイが元に戻るにしても、緩やかに解けていくように他の部品が制御を行っています。
「脱進機」と呼ばれる仕組みです。「脱進機」についてはまた別の機会にお話したいと思います。
時計以外でゼンマイを使った身近な物をいくつか紹介します。まずは昔懐かしの「ブリキのおもちゃ」です。時計と同様に、ゼンマイが動力になっています。
新しいおもちゃになってきますと、プルバック式ミニカーの「チョロQ」も動力源はゼンマイです。巻き上がったゼンマイが、ダイレクトにタイヤに伝わって動かしています。
その他には「オルゴール」等でしょうか。サイズは違いますがゼンマイで動く仕組みは、機械式腕時計だけではないようですね。役割の面からすると、動力源になる事は間違いないようです。
自動巻き腕時計と手巻き腕時計のゼンマイの仕組みの違いについて
「手巻き腕時計」「自動巻き腕時計」の違いは、「巻き止まり」があるかないかの差です。手巻き腕時計のゼンマイは巻き止まりがあります。
一方自動巻き腕時計には、巻き止まりがありません。つまり自動巻き腕時計は、何回でもゼンマイを巻き上げる事ができるのです。
ではなぜ自動巻きには、巻き止まりがないのでしょうか。理由は自動巻きの仕組みにあります。自動巻きには、自動巻きローターによるゼンマイの巻き上げと、手巻き機能によるゼンマイの巻き上げがあります。
例えば、手巻き機能を使って一杯にゼンマイを巻き上げ、腕に巻いて使用したとします。腕に巻いて使用していると自動巻きのローターが、自然に回って更にゼンマイが巻き上がる事になります。
一杯に巻いている状態で更に巻き上げが発生したとすると、どこかで余分に巻き上げた分は逃がしてあげないといけないですね。
その為、巻き止まりがないのです。自動巻きのゼンマイは、一杯に巻き上がった状態で更に巻き上げると、ゼンマイ全体が少しずつスライドしながら余分な巻き上げ分を逃がし、ゼンマイが切れないような仕組みになっています。
自動巻き腕時計は、巻き上げ過ぎてもゼンマイが調整してくれます。手巻き腕時計のように、一杯に巻き上げてしまう感覚はありません。
安全設計の自動巻きの仕組みが、かえってゼンマイ切れの判断を分かりづらくしているのです。
自動巻き腕時計のゼンマイが切れると、どんな症状(不具合)が発生するの
自動巻き腕時計のゼンマイが切れてしまうと、このような症状(不具合)が起こります。
全く動かない場合は、他の原因の可能性も含めて考える必要があります。もし普段特に問題なく使えていて、時計のメンテナンスもきちんと行っていれば、ゼンマイ切れを疑ってみて良いです。
ゼンマイを巻き上げてもすぐに止まってしまう方が、ゼンマイ切れの判断は分かりやすくなります。ゼンマイが切れてしまっているので、巻き上げていてもすぐにゼンマイが解けてしまうのです。
判断のポイントは、ゼンマイを巻き上げた時に、時計がスムーズに動きだす事です。その上で長く動いてくれない場合は、ほぼゼンマイ切れで間違いないでしょう。
この時に、時計を振ったりしないと動かない場合は、やはり別の原因の可能性もでてきます。
因みに現行のモデルでゼンマイを一杯に巻いた場合、1.5日~2日程は動作します。ビンテージ品の時計でも、1日程は動作するはずです。
自動巻き腕時計でゼンマイが切れている場合は、数分なりし若干ながら動く症状が多いです。但し、メンテナンス不足からくる動作不良との切り分けは必要となってきます。
自動巻き腕時計の、ゼンマイが切れる原因
自動巻き腕時計の場合は、手巻き腕時計と違いゼンマイが全体的にスライドしてくれる為、人為的な事故は発生しにくい作りになっています。
切れにくい仕組みになっているのに、なぜゼンマイは切れてしまうのでしょうか。ずばり言ってしまうと自動巻き腕時計の場合は、金属疲労によって切れる事が多いのです。
ゼンマイは巻き上げては、元に戻るのを繰り返す事になります。元々摩耗しやすい部品なのです。ゼンマイはオーバーホールを行う際は、消耗品に分類されている程です。
原因を突き詰めていけば、メンテナンス不足に起因しているのではないでしょうか。
ゼンマイが切れる程の長い期間、オーバーホールしていないと考えられなくもありません。稀にゼンマイ自体が、不良品である事もありえるようですが…
腕時計にもよりますが、ゼンマイを巻き上げつつ耳を澄ましていると、「スルスル」と何かが滑ったような音が聞き取れる事もあります。
これはゼンマイが切れていて、巻き上げていてもすぐに元に戻っているのです。
ゼンマイ切れが必ず時計メンテナンス不足となる訳ではありませんが、関連は強いです。切れている症状と併せて、時計のメンテナンスを行った時期についても、見直してみてはいかがでしょうか。
ゼンマイは切れていなくても、劣化すれば動力が弱くなってくる
ゼンマイは切れていなくても、劣化してしまえばゼンマイが解けてしまう力も弱くなってきます。
ゼンマイは使い続けることで、元々もっている張力も摩耗してくるのです。ゼンマイが、消耗品の一つと数えられる理由はここにもあります。
ゼンマイの解ける力が弱くなると、時計の動作に影響がでてきます。動力が弱くなってしまうので、実際の時間より遅れてきたり、酷いと動作ができなくなったりします。
巻き上げたゼンマイが戻ろうとする力が衰えてくるのは、切れてしまう一歩手前の状態といったところでしょうか。
時間の遅れは様々な要因があるので、一概にゼンマイが原因とは言い切れません。しかし時間が遅れだしてきた事は、時計がなんらかの原因がある事は間違いありません。
オーバーホール等を、検討する良い機会にはなるのではないでしょうか。
有名ブランドのゼンマイは動力が強い。よって歯車にかかる負担も大きいです
スイスの有名ブランド、国産の高級モデルのそれぞれに共通するのが、ゼンマイに張力(動力)の強い部品が使われているのが多い事です。
つまりゼンマイのような消耗品に類する部品も、手を抜かず良いものを使っている証ともいえます。
張力が強いという事は、時計を動作させる歯車類の部品にも負担が掛かる事になります。勿論部品も強度のあるものが使用されています。
しかし部品類に負担をかけず、摩耗もさせずに長く使用するには定期的なメンテナンスが必要なのです。
セイコーの高級モデルである「グランドセイコー」はご存知でしょうか。グランドセイコーの前モデルに「キングセイコー」と呼ばれるビンテージ時計が存在します。
キングセイコーは、ビンテージ品の時計の中でも人気の高いモデルです。
そんなキングセイコーもゼンマイの張力は、ビンテージ品としてはかなり強めになります。その強さ故に香箱(ゼンマイを収納してある部品)の歯車が欠けている個体も多いです。
ゼンマイの動力が強くなる程、時計はしっかり動作してくれます。しかし同時に部品に掛かる負担も大きくなります。
時計の部品にかかる負担を軽くし、摩耗を防いでくれるのがオーバーホールです。ゼンマイ切れ等のトラブルを防ぐには、オーバーホールは有効な手段なのです。
ゼンマイは消耗品のひとつです。オーバーホールの際に交換を考えてみる
ゼンマイは日々使用する事で、摩耗していく部品である事が改めて確認できました。ゼンマイは消耗品です。摩耗して切れてしまったとしても、致し方ないのではないでしょうか。
オーバーホールに出した際は、交換も検討してみるのも良いかもしれません。少なくともゼンマイが弱ってきていれば、交換を進められるはずです。
因みにオーバーホールを行わずに、ゼンマイ交換を修理で対応した場合の修理料金の相場はこちらになります。時計修理店での料金相場です。
もし普段きちんとメンテナンスを行っているのに、ゼンマイが切れてしまった場合は、修理での対応も良いかと思われます。
オーバーホールの際に部品交換が発生すると、その分追加料金となりますので、多少の抵抗はあるかもしれません。
しかしゼンマイは時計の動力源です。交換を勧められたのであれば前向きに検討してみましょう。
まとめ
今回は、自動巻き腕時計のゼンマイ切れの症状や原因について紹介しました。症状や原因は、時計の状態をよく思索(しさく)してみますと、大分絞られてきましたね。
ではおさらいしていきましょう。まずが自動巻き腕時計の、ゼンマイが切れた場合の症状からです。
ゼンマイは通常一杯に巻き上げると、1.5日~2日程は動作します。この期間を大きく下回るようでしたらゼンマイ切れを疑ってみましょう。
自動巻き腕時計のゼンマイ切れの原因はこちらになります。
自動巻き腕時計のゼンマイは巻き止まりがないため、切れにくい仕組みでした。そのため自動巻き式のゼンマイが切れる原因はほぼ、金属疲労による摩耗になります。
自動巻き式の時計のゼンマイが切れる場合は、メンテナンス不足である事が推測されます。ゼンマイ交換の修理のみも可能ですが、時計を長く使い続ける事を考え、オーバーホールも検討してみてはいかがでしょうか。
腕時計の修理やオーバーホールは時計店に持ち込みしなくとも、オンラインで修理の依頼ができるサービスも存在します。
受付け完了後、梱包キットが送られてくるので、キットに梱包して郵送するだけです。時計店に明日を運ばなくても済むのは楽で良いですね。
修理やオーバーホールに掛かる料金は、時計修理店にて受け取り後、お見積りという形になります。もし予算にあわないようでしたらこの時点でキャンセルも可能です。
WEB上で完結する時計修理サービス、検討してみるのも良いのではないでしょうか。
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