時計修理 オーバーホール

時計をうっかり洗濯してしまった!すぐに乾燥させたらなんとかなる?

洗濯物を干しているとき、ポケットが膨らんでいたので何が入っているか確認してみると…「大事に使っていた時計が入っていた!」こんな経験をされた事はありませんか。

もしかしますと今時点で洗濯してしまい急ぎどうするべきかと検索し、この記事を見つけられたのかもしれません。

私自身は時計を誤って洗濯した事はありませんが、たまに「洗濯してしまいまして…」と勤めている時計店に持ち込まれる事はあります。

今回は誤って洗濯した時計は復活するのか、について解説していきたいと思います。

取り急ぎの応急処置

時計を洗濯してしまった場合に、取り急ぎ行いたい処置はこちらになります。

  1. 時計についている水分を取り除く
  2. 水分を取り除いた後は竜頭を引き上げておく

時計は水気を最も嫌います。まずは水分を取り除いてあげましょう。しっかり水分を服取りましたら、次は竜頭を引き上げ少しでも時計内部の風通しを良くしてあげて下さい。

時計の内部は金属部品のかたまりです。しかも密閉空間、錆びが発生しやすい環境なのです。

取り急ぎの応急処置は以上です。簡単な対処ですが水分に弱い時計だけに行っていて損はありません。

早めの対処が重要です。

時計を洗濯したら急ぎ時計店に修理に出す

応急処置が終わったら次は、修理してくれる時計店を探しましょう。水に浸かってしまった時計が直るかどうかは、時間との勝負といっても過言ではありません。

可能であれば当日、気付いたのが営業時間外であれば翌日には修理に出したいものです。

馴染みの時計店や、購入した正規店等のお店があればまずはそちらに問い合わせされて下さい。

新規に時計修理店を探す場合は、グーグルで「お住まいの市町村 時計店」検索しますと、お近くの時計店が表示されます。

この時点では修理の料金も確定していませんので、いくつかピックアップし対応の良い時計修理店を選択されてみては如何でしょうか。

気になる修理料金ですが、最終的には時計の状態を確認してからになります。場合によってはオーバーホールを勧められる事もありえます。

思わぬ修理代金だった…となってしまわない為にも修理してもらう前に概算でも良いので、修理の代金を確認しましょう。

早く修理に出したい経緯はありますが、料金がすぐ確定しないのは悩ましいですね。急ぎではありますが、見積りも大事です。

洗濯した時計を自分自身で乾燥させるのはあり?

風防の内側に水滴がついている画像▲ガラス(風防)の内側に水滴がついている。この状態だと動いていてもオーバーホールが必要

少なくとも洗濯する前までは動いていたので、止まってしまった原因は掴めています。自分自身で修理をと思ってしまうかもしれません。

しかし自分自身で修理する事はお勧めできません。

時計の中身の水抜きを行うといっても、専門的な技術が必要だからです。

ます水分を取り除く為には、裏蓋を開けなければなりません。慣れていないと時計ケースに傷をつけてしまう可能性があります。

ケースは時計のパーツの中でも重要です。なるべく傷を入れない状態を保持したいものです。

折よく開けても難問があります。時計の動作を司るムーブメントがそのまま確認できますが、このムーブメントが精密そのものなのです。下手に触ってしまえば、破損させてしまいかねません。

例えばクオーツ時計のムーブメントは「コイル」がむき出しのものも存在します。このコイルの線は切れてしまえば、全く動かなくなります

クオーツ時計の裏蓋を開けた画像▲赤い印をつけている箇所がコイル。コイルを傷つけてしまうと通電しなくなる。通電しなくなったコイルは交換が必要。

そんな重要な部品がむき出しの状態であるの!とも思ってしまいそうではあるのですが…

裏蓋一つ開けるにも技量が必要です。専門の業者に任せるのをお勧めします。

「シリカゲル」はご存知でしょうか。強力な乾燥剤のようなものです。

この「シリカゲル」と洗濯した時計を「ジップロック」に一緒に入れておいて水分を取ってしまってはと「Yahoo知恵袋」等質問サイトの回答に書かれているのを見かけました。

効力の程は如何なものなのでしょうか。私自身は使った事はないのですが、非常に興味は湧きました。

裏蓋を開けた状態であれば、「十分水分を乾燥させてしまうのでは!」と想像した次第です。

「シリカゲル」については別途検証してみたいと思います。結果が出ましたらこの記事に追記しますね。

時計を洗濯したけど動いている。何もしなくて大丈夫?

時計を洗濯機にかけてしまったけど元気に動いている…時計によってはこんな事もあるかもしれません。

時計の文字盤を見ても濡れていないし、ガラス面(風防)に水滴も溜まっていないのであれば特にダメージはないように思えます。

このような状態であっても、時計店で点検してみる事をお勧めします。

洗剤を投入し、水を入れて攪拌(かくはん)する事を30-40分ほど行います。いくら防水機能が優れた時計であっても、想定外なのではないでしょうか。

現に「直後は動いていても、1週間程で止まってしまった…」はよく聞く話です。密閉した空間で、錆びが浸食したのでしょう。

とはいえ動いているのであれば、オーバーホールまではいかないのではないでしょうか。大事な時計ですので、時計店で見てもらう事をお勧めします。正規店への問い合わせでも良いです。

洗濯した時計はどんな修理を行うの?

ムーブメントの種類によって対応は違ってきます。

ムーブメントの種類 対応内容
クオーツ式(電池で動くタイプ) 修理(水抜き)もしくはオーバーホール
機械式(手巻きまたは自動巻き) オーバーホール

機械式タイプは、オーバーホールの対応となるでしょう。ムーブメントに使っている部品の全てが金属部品である為です。しかも極小の部品です。

機械式時計のムーブメントの画像▲機械式時計のムーブメント。部品は全て金属部品。この小さな部品が水に浸かってしまったら…

一方クオーツはどうでしょうか。クオーツも金属部品は使われていますが、動作の核となる部分は精密機械です。

侵入した水分の量によっては、「水抜き」位の修理で済む可能性があります。

私自身、時計を洗濯機で洗った事はないのですが、「USBメモリー」は何度かあります。洗濯機にかけた直後は使えませんが、1週間位すると復活しました。

時計とUSBメモリーを一緒にする事は当然できません。しかし精密部品が濡れた程度であれば、水分を取ってあげるだけで十分復活する可能性はあるのではないでしょうか。

時計の内部に侵入してしまった水分の量によって、修理だけですむのかオーバーホールまでしてしまう事になるのかといった所でしょうか。ただ機械式は構造上修理では済みそうにはなさそうですね。

因みにですが夏場は汗をかきますが、汗が原因でも時計が止まったりする事があります。汗の湿気に侵されているのです。

汗位の少量であれば、ムーブメントの湿気を取り除くだけで動きだしています。

数年前ですが愛用している時計が、恐らく汗が原因で止まってしまった事がありました。

修理が終わるまで店内で待たせて頂いていたのですが、暫くすると「ウー」と聞いた事のある音が!除くと時計をドライヤーで乾かしていました(^^;)

まとめ

今回は誤って時計を洗濯した場合の対応について解説してみました。水気に弱い時計だけに、早めの対応が良いようです。

ではおさらいします。まずは洗濯したばかりの時計の、考えられる状態から確認してみましょう。

考えられる時計の状態
  1. 時計は動いていない。
  2. 時計は動いていない。加えてガラス面(風防)の内側、文字盤に水滴が溜まっている
  3. 時計は動いている。ガラス面や文字盤に水滴がある。もしくは曇っている
  4. 時計は動いている。ガラス面や文字盤に水滴もついていない。

時計が動いていない、もしくは時計のガラス面の内部が曇っていたり水滴が溜まっていたりしましたら修理またはオーバーホールが必要です。

しかし特にガラス面が濡れている訳でもなく、更に動いていると修理しなくても良いように感じてしまうかもしれません。

しかし洗濯機で洗ってしまうという事は、洗剤を入れ数十分攪拌するというある意味想定外の中で水に浸かっています。問題なく動いていても念の為、点検に出す事をお勧めします。

次に時計に使われているムーブメントは、2種類あります。

  1. クオーツ式(電池で動くタイプ)
  2. 機械式(ゼンマイを巻いて動くタイプ。手巻きや自動巻き)

機械式の方がより水分に弱く、洗濯機で洗ってしまえば、ほぼオーバーホールでの対応となります。

クオーツ式はムーブメントに精密機械を含んでいる分、オーバーホールまでは行わなくて良い可能性を残しています。ただあまり期待しない方が良さそうです。

オーバーホールや修理の料金は、時計ブランドや店舗によって違ってくるので、店舗に持ち込んだ際の確認となります。高級ブランドの時計になればなるほど、料金は高くなります。

参考までに国産のクオーツ時計であれば、オーバーホール料金の相場は「\10,000円」程です。

可能であれば時計は洗濯しないのが一番です。普段時計をつける習慣のない方に、「うっかり服の中に時計…」の傾向があるようです。

くれぐれもお気を付け下さい。