時計修理 オーバーホール

腕時計のオーバーホールを自分で行ってみたい!実際はどうなのかを経験者が語ってみた。てん

「調子が悪くなった腕時計をオーバーホールして復活させたい」こちらの記事にたどり着いた方は、こんな思いで読まれているのではないでしょうか。

腕時計のオーバーホールや修理に興味があっても、何から手をつけて良いのか分からない。インターネットなどで検索しても、詳細な情報はないし、教えてくれる教室なども見つからない‥

時計のオーバーホールをしたいと思うものの、行動のしようがないと踏み出せずにいませんか。

私も時計の修理やオーバーホールをしたいと願望を持ち、実際に行動した1人です。

これまで2000本以上の腕時計を販売し、さまざまな状態の腕時計を見てきた経験があります。

まだまだ未熟ですが、何とか時計を分解し清掃、組み立てができるようになっております。因みに時計修理の学校などに、通う事もしていません。

今回はどのようにして、『腕時計の修理、オーバーホールのノウハウを身につけたか』『自分自身でオーバーホールはできるのか』についてお話していこうと思います。

腕時計のオーバーホール、修理を始めるきっかけ

まずは自己紹介も兼ねて、私が腕時計のオーバーホール(分解清掃)や修理を始める事になるエビソードを話します。

私自身が腕時計の修理やオーバーホールをで、きるようになりたいと思ったのは、腕時計の販売を始めた事がきっかけです。

中古の腕時計はとにかく、何かしら悪いところがある事が多かったです。折角仕入れても、完全品でないと高値で売れません。

最初は修理してもらえる時計店を探しました。快く引き受けてくれる時計店もあったのですが、修理をしてもらうと中々利益がでません。

そこで思いついたのが「自分自身で修理すればよいのでは」でした。そして時計修理をお願いしていたある時計店に、無理をいって頼みこみ今に至ります。

腕時計のオーバーホール、修理に向き不向きはある?

残念ながらあるようです。これは私が勉強させて頂いている時計店の店主の方より聞いた話になります。

その昔時計店では、住み込みで時計の修行をしつつ技術を学んでいくのが通例だったそうです。

また時代が進んで住み込みで修行する事がなくなっても、私の様に「時計の勉強をさせて欲しい」と頼みこんでくる時計好きな方はいたと聞きます。

全員が技術を習得できるのではなく、途中で諦めていった方も多くいたそうです。実際に私時計の勉強を始めてしばらくは辛い日々が続いたものでした。

腕時計の部品一つ一つはとても小さく、細かい作業をしていると手が震えてくる事もありました。さらに時計の作業が進まないと、暴れだしたくなるような衝動も…

このようにストレスを感じる事が多かったです。ただ私の場合は最初だけですぐに慣れてしまいました。

機械式時計のムーブメントの精巧さや、構造に興味津々でした。また動かかなかった時計が動きだす瞬間は最高です。

細かい作業が苦にならない、コツコツと作業を進めるのが好きといった向きではあるようです。

もしオーバーホールするのであれば最初から大事な時計では行わない

腕時計のオーバーホールはとても難易度の高い作業です。お持ちの普段愛用している大事な腕時計や高級時計でいきなり分解するのは絶対にやめておきましょう。

オーバーホールは高い技術力を必要とします。

最初は壊してよいようなジャンク品の腕時計から試してみるのをお勧めします。すぐに時計の修理技術が身につく訳でもないからです。

その為、くれぐれも自分で修理したいと思っている時計のオーバーホールは我慢して下さい。

とはいえ動かない状態で長く保管するのも良くありません。可能ならプロにお任せするのをお勧めします。

自分でオーバーホールする場合は、時計修理用の工具を揃える

もし決意を固めて腕時計のオーバーホールをするとなれば、必要なのは腕時計を分解するための工具を揃えましょう。

早速購入をと思ってみても、残念ながら工具は時計店やホームセンターといったお店では揃える事はできません。専門的すぎるのでしょう。

ではどこで購入するのでしょうか。私の場合はネット通販で購入しました。楽天やアマゾンに時計工具の専門店がショップを出しているのです。

ヤフオクにも中古の工具が出品されています。廃業になった時計店の工具などが出品されている事もあり、急がないのであればヤフオクで少しずつ揃えるのも良いかもしれません。

ネットで『工具類は全て揃う?』と思われた方、ご安心ください。揃える事はできました。

揃えるべき工具の種類については別の記事にまとめています。もし宜しければ参考にされて下さい。

腕時計の修理にはどんな工具を使用している?修理や分解に必用な工具11選普段愛用している腕時計のベルト交換や、簡単なメンテナンスをご自身で行ってみたいと思った事はありませんか? 腕時計は、故障の内容に応じた...

初心者でも分解しやすい時計で練習する

腕時計によってオーバーホールの難易度は変わってきます。複雑な機能がついていればついているほど、難易度は高いです。

慣れないうちは複雑な仕組みのない腕時計で練習する事をお勧めします。具体的にはこんな腕時計が分解しやすかったです。

  • 国産の手巻き腕時計
  • ノンデイトタイプ
  • ジャンク品の腕時計
  • ビンテージ品の腕時計

この4つが当てはまる腕時計が分解しやすく、またお財布的にも優しかったです。理由を1つずつ説明していきます。

可能な限り当てはまる時計を入手したいものです。

因みにですがオーバーホールは機械式腕時計を前提に話を進めていきます。やはり腕時計のオーバーホールといえば機械式を想像してしまいませんか。

国産の手巻き腕時計

セイコー、シチズン、オリエントといった国産の手巻き腕時計は分解しやすかったです。国産だけに日本人の手に馴染みやすいのでしょうか。

スイス製の時計は国産に比べて繊細です。例えば時計を分解した際は注油すると思うのですが、油の量が多いだけで動きが鈍くなってしまう事もありました。

部品一つ一つも繊細で、丁寧に扱わないと壊れてしまう事も多かったです。

国産であっても部品は繊細で乱暴に扱って良い訳ではありません。しかしこれは感覚的なお話にはなりますが、扱いやすいのです。

国産の腕時計の方が手に入れやすい事もプラスの評価として良いのではないでしょうか。

ノンデイトタイプの腕時計

文字盤にカレンダーのついていないタイプの手巻き腕時計は、部品数も少なく初めてのオーバーホールにお勧めです。

カレンダーやクロノグラフといった機能がついていると、構成する部品も多くなり、難易度が上がります。

私自身はクロノグラフを分解した事はありませんが、カレンダーのついた時計は何度も分解しています。

カレンダー機能はバネを使って制御しているのですが、このバネを飛ばして失くしてしまった事は1番や2度の話ではありません。

『探せば見つからない?』と思われるかもしれませんが、意外に分からなくなってしまいます。時計の部品なので小さすぎなのです。

因みにバネの太さは髪の毛程。いやもっと細いかもしれません。

分解する事に慣れない内はとにかく作業が大変です。シンプルな仕組みの腕時計をお勧めします。

ビンテージ品の腕時計

上記のノンデイトタイプの腕時計と似た理由になってしまいますが、ビンテージ品の腕時計は作りが複雑ではないので分解するのにお勧めです。

また値段も安いのが多いので、失敗しても損した気分にもなりづらいです。

具体的には古めのセイコー5などです。安価で時計の分解には丁度良いです。失敗して壊してしまっても、同じモデルを見つけやすくもあります。

カレンダー機能はついており、自動巻でもあるのですが時計修理の入門用としてはもってこいです。

ジャンク品の腕時計

ジャンク品の時計の良さは何より安い事!分解したい時計が高いとどうしても慎重になり過ぎて作業が進みません。

状態の良いのも分解に躊躇しがちです。動いているのに何故分解を?と目的が曖昧になってしまう事もあります。

その点ジャンク品であれば最初から動かない状態です。オーバーホールの甲斐もあります。

そして一番の喜びは、動かなかった時計が復活する事です。オーバーホールして時計が動き出す瞬間の感動は何事にも代えがたい喜びがあります。

是非ジャンク品の時計を優先して入手されてみて下さい。

初めてのオーバーホールをする際に難易度が高かった作業

次に私自身が初めて時計のオーバーホールにチャレンジしてみて、特に難易度が高かった作業をお伝えします。

私自身は時計店で学ばせてもらっていますが、分解と組み立ての工程は一切教えてはもらえませんでした。

時計の分解や組み立ては慣れで教える事はないからだそうです。確かにそうなのですが、当時はかなり辛い思いをしたものです。

少し専門的な部品名がでてきてしまいますが、壊した経験のある作業になります。またオーバーホールした時計は上記の『初心者が扱いやすい時計』の条件に当てはまる時計になります。

是非参考にされて下さい。

「輪列受け」の取り付け

「輪列受け」とは「地板」に配置されている歯車一式を上から押さえつけるように取り付ける部品です。

歯車の全てが「地板」と垂直になった状態でないと取り付けができないのですが、この全ての歯車を垂直にした状態というのが、初心者の内はとても難しかったです。

1番最初に勉強先の時計店に質問したのもこの内容でした。帰ってきた回答は『慣れる事!』

歯車全部が『地板』に対して90度になっていれば、すんなりと取り付けできるので確かに慣れでしかありません。

ピンセットで歯車の軸を調整しながら取り付ける事になるのですが、最初に取り付けた時計は2時間かかりました。

歯車を破損させた事もあります。垂直になっていない状態で無理に取り付け、歯車の軸の先端が折れたのです。

『輪列受け』は簡単に取り外せるので、意外な思いもありますが、初心者にとって難関の一つになる事間違いありません。

「テンプ」の取り付け、取り外し

「テンプ」は時計の心臓部のような部品です。左右に振れながら規則正しく動く様は思わず見入ってしまいそうですよね。

蚊取り線香のような形状のバネがある事で、このような動作をしてくれるのですが柔らかすぎるバネだけに取り付け、取り外しが難しいです。

下手に外そうとすると、バネを絡めてしまったり、縦に伸びてしまったり、最悪切れてしまう事もあります。

慣れない内は絡めてしまう事が多く、絡めてしまっては時計店の師匠に直してもらいました。特にスイス製の「テンプ」のバネが柔らかかったです。

取り付けになると更に難易度は上がります。バネの柔らかさに加えて、「アンクル」の取手の部分にテンプの石をセットしなければならないからです。

そうする事で「アンクル」と「テンプ」が連動する事になります。

ブラブラした不安定な状態の「テンプ」を「アンクル」にセット…初心者にとって最大の難関といって良いかもしれません。

難しい作業ではありますが、「テンプ」を取り付け動く瞬間が最も感動する場面でもあります。尻込みせずにチャレンジしてみて下さい。

因みにですが国産の時計は、スイス製と比べて「テンプ」のバネは硬めです。国産であれば幾分か扱いやすかったです。

「裏押さえ」の取り付け

「裏押さえ」はリューズを引き上げや押し込みを行った時に、その状態を維持するために必要となってくる部品です。

「裏押さえ」が壊れていると、リューズを引き上げ、引き下げた状態を維持できず操作しづらくなります。

リューズの状態を維持してくれる「裏押さえ」ですが、非常に細い金属で制御しています。細いが故に折れやすいのです。

常にテンションがかかっている状態であるためか、金属疲労が原因で折れている事もあります。そのため取り付けの際は要注意です。

アンティーク時計の場合は、「裏押さえ」が折れている事は結構ありました。折れていなくても、外している時に、朽ち果てるかのように、折れていく「裏押さえ」もありました。

ただプラスに考えると、「裏押さえ」が壊れていても時計の動作には関係ないです。リューズの操作がしづらくなるだけです。

もし折ってしまったとしても、ガッカリせずにこれも勉強と考え作業を進めてみて下さい。注意する意識があるだけでも大分違うはずです。

「丸穴車」「角穴車」の取り外し

「丸穴車」と「角穴車」の取り外しも要注意です。まずは「角穴車」はネジ山が逆です。外そうと思いネジを時計回りに回すと、締める事になるのでご注意下さい。

「角穴車」の方は厄介です。多く通常通りのネジ山ですが、メーカーによっては逆にネジ山が切られている場合があります。

具体的にいいますと、ビンテージ品のシチズンの腕時計です。シチズンの「角穴車」「丸穴車」は共に逆のネジ山となっている事が多いのでご注意下さい。

十分に注意して欲しいと書いたのは、十分に締まっているのに更に締めるとネジ山の頭が折れてしまうからです。

ネジだけ中に残ると、取り除く事はできません。ジャンク品時計やビンテージ品の時計はメンテナンスされていないので、ネジが固い事は多々あります。

初心者の内は逆ネジを締める方に回しているので固いのか、ネジが錆びて固着して固いのか判断がつきづらいです。

実は私も何個かネジ山を折った事があります。

予防策としてはシチズンの古い時計を分解する場合は、逆ネジを疑って下さい。後は用心のために「角穴車」「丸穴車」を外す時は事前に油を差しておく事です。

錆びて固着していても、油が浸透すればネジが回せない事はないです。

オーバーホールに慣れない期間にお勧めしたいひと手間

工具類を揃え、修理したい時計を入手すればいよいよオーバーホールへ着手です。実際にオーバーホールをする際にお勧めしたいのは、分解の工程を画像に残す事です。

組み立てを行う時に、『あれ?この部品はどこで使っていたかな?』となりがちだからです。私自身何回もありました。

そんな時に画像があると悩まなくてすみます。

時計のオーバーホールは分解よりも組み立ての方が難しいです。作業の負担を軽くするためにも是非実践されてみて下さい。

【まとめ】実際の時計の分解は動画拝見下さい

今回は自分自身でオーバーホールする事をテーマにお話しました。修理の工具やオーバーホールしやすい時計、注意点は分かったものの実際に時計を分解しながらの解説は?

と思われませんでしたか?ご安心下さい。時計の修理やオーバーホールはYouTubeチャンネルにアップしております。

実際の分解手順や組み立てについては動画の方をご覧下さい。

モントルクルーの時計修理チャンネル

作業が難しい工程も動画で確認すれば一目瞭然です。作業前に是非ご視聴されて下さい。

 

初めてのオーバーホールを行うのであれば、なるべく安く、そして時間だけが確認できる単純なタイプを選択されて下さい。

特にジャンク品の時計はお勧めです。勉強用としてはもちろん、修理できて動き出した時の感動を是非味わってほしいです。

私は運良く時計の修理を教えてくれる時計店に出会いましたが、独力での解決が基本です。1人でも十分やれるはず。要は根気です。

もしオーバーホールでお困りでしたら、お気軽にご連絡下さい。私もプロではありませんので、あまりお役には立てないかもしれませんが、相談にはのれます。

おすすめのオンライン時計修理サービス

腕時計の修理やオーバーホールは時計店に持ち込みしなくとも、オンラインで修理の依頼ができるサービスも存在します。

受付け完了後、梱包キットが送られてくるので、キットに梱包して郵送するだけです。時計店に明日を運ばなくても済むのは楽で良いですね。

修理やオーバーホールに掛かる料金は、時計修理店にて受け取り後、お見積りという形になります。もし予算にあわないようでしたらこの時点でキャンセルも可能です。

WEB上で完結する時計修理サービス、検討してみるのも良いのではないでしょうか。

紹介します3社の共通点は、ハイレベルな技術力と圧倒的なコストパフォーマンスでお客さんを満足させるというところです。

どの業者も見積もりは無料で行ってくれます。興味を持たれましたらお気軽に問い合わせ下さい。

時計修理の千年堂

時計修理の千年堂は、最高の技術と低価格が魅力のコストパフォーマンスが高いサービスを提供している業者です。また仕上げのスピーディーさにも力を入れているのが特徴です。レベルの高い多くの時計技師を抱えています、工房内で切磋琢磨することで品質向上に努めています。同時に価格の方も他店舗よりも安めの設定で、申し分ありません。時計のオーバーホール専門店の面目躍如といったところでしょうか。

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株式会社CIEN
株式会社CIENは有名なメーカーの修理部門に在籍していた技術者がいる業者で、美しい仕上がりに定評があります。自社内で修理を行うため見積りや修理作業の工期も短めです。料金については『全国一安い』を自負しています。お財布に優しいのはありがたいですね。また修理でパーツ交換する場合は『純正品』を使用、価格だけではなく品質も問題ありません。保証も1年としっかりとしており、アフターフォローも万全です。
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株式会社リペスタ

リぺスタは見積り後の修理依頼率が高いというのが特徴的で、国家資格の1級時計修理技能資格を有する豊富なキャリアを積んだ職人が一つ一つ丁寧に充実した環境で作業します。特筆すべきは見積りキャンセル時に返送にかかる送料も無料である事。料金面や対応内容に不安を感じた場合もキャンセルしやすいです。料金の安さや品質に自信があるのでしょう。『修理依頼率が高い』も納得です。

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