時計修理 オーバーホール

腕時計の修理にはどんな工具を使用している?修理や分解に必用な工具11選

普段愛用している腕時計のベルト交換や、簡単なメンテナンスをご自身で行ってみたいと思った事はありませんか?

腕時計は、故障の内容に応じた工具を使用して修理していきます。ではどんな工具を使用して修理、分解していくのでしょうか。

修理の内容には、ベルト交換や電池交換の様な簡単なものから、専門の知識が必要なオーバーホール(分解)まで様々です。

今回は自分でもできそうな修理から、気になる機械式腕時計のオーバーホールで使用する工具までを紹介します。

腕時計を修理、分解するのに必要な工具

腕時計の修理に使う工具は多数存在します。

修理の内容によって使用する工具は変わってくるのですが、まずはベーシックでよく使うであろう工具について紹介します。

下の11点の工具を揃えれば、機械式腕時計の分解まで可能です。

ピンセット

ピンセット

腕時計の修理で、メインで使用する工具です。小さなネジをつかんだり、部品の取り外し、取り付け、電池交換とどんな修理に対しても必須の工具になります。

腕時計の中の機械(ムーブメント)は、小さな部品で構成されています。ネジは米粒よりも小さいサイズです。バネは髪の毛よりも細く、指先で掴むのはとても困難です。

このような極小の部品を掴むには為に、ピンセットが必要になってきます。

ピンセットの素材は大きく3種類です。

  1. 鉄製
  2. ステンレス製
  3. プラスチック製

素材によって用途が違います。鉄製、ステンレス製は腕時計の部品を掴むのに使用します。鉄製の方が、素材が部品と同じ為か掴みやすいです。

しかし鉄製は鋭利な刃物のようで、部品に傷をつけてしまいがちです。ステンレス製は鉄製に比べると滑りやすく、指先の力加減を間違うと掴んだ部品を落としたりすることが多くなります。

プラスチック製は、電池交換の時に使用します。金属製のピンセットでコイン電池を掴むと電池を放電してしまう為です。

ネジや小さなバネ等の小さな部品は、なくさないようしっかり掴める鉄製のピンセット、ステンレス製は傷を付けたくない大きめの部品を使用する等、部品によって使い分けるのが良いでしょう。

幅広い用途から、ピンセットは修理の工具としては必需品と考えて下さい。

ピンセット扱いの練習方法

慣れない内は力加減が分からず、部品を飛ばしてなくしがちです。ピンセットの扱いに習熟するためには以下の練習をすると良いです。

  1. 小皿を2皿用意する
  2. 一つの小皿に米粒を100粒用意する
  3. 毎日小皿から小皿へ100粒を1粒ずつピンセットで掴んで移動させる

これを毎日繰り返し練習するといずれ米粒を一粒も落とさなくなり、ピンセットの扱いに習熟することができます。

時計職人を目指されているのであれば練習されてみてはいかがでしょうか。

精密ドライバー

精密ドライバー

腕時計の中の機械(以後、ムーブメントとします)のネジの取り付けや、取り外しの際に必要です。電池交換からオーバーホール、その他の修理にも多岐にわたって使用します。

こちらの工具も、ピンセットと合わせてよく使う工具です。

精密ドライバーは、修理にあたってはサイズの違うドライバーが必要になります。また、ムーブメントで使用するネジ山はほとんどマイナスです。

つまりネジ山の形状に合わせて、精密ドライバーもマイナスになっています。

ムーブメントに使用しているネジのサイズは様々です。ネジを外していくには、それぞれのネジ山に合うドライバーを使用する必要があります。

合っていないドライバーを使用すると、ネジ山をなめてしまいネジを外す事ができなくなってしまうので注意しましょう。

そのほかにも、精密ドライバーは様々な場面で必要になってきます。機械式腕時計のムーブメントであれば、分解する時にネジを取り外しながら分解していきます。

電池交換の場合も、精密ドライバーは必要です。コイン電池はネジで止められていますので、ネジを取り外す必要があるからです。

精密ドライバーは、真鍮の様な柔らかい金属の素材でできてます。暫く使っているとドライバーの先端が痛んできます。

その時は包丁の様に、先端を研いであげると復活します。使えなくなったと勘違いし、捨てないよう注意して下さい。

ピンセットと同様、精密ドライバーも使用頻度の高い工具になります。セットで販売されているものを購入すれば、ネジを取り外せず、腕時計の分解に困る事はないはずです。

また、使用前にこまめに研いであげると作業がしやすくなります。

固定台(ムーブメントホルダー)

固定台(ムーブメントホルダー)ムーブメント(時計の駆動をつかさどる部分)を固定する台です。ムーブメントを分解していく際に必要になります。固定台を使用しますと作業が安定して行えます。

固定台(ムーブメントホルダー)は、サイズに合わせて調整できます。

しかしムーブメントもメンズとレディースでは大きさが余りに違いすぎるので、固定台も修理する腕時計のサイズに合わせて用意しなければなりません。

固定台がなくとも分解できない訳ではありません。しかし固定台に固定しない状態で分解していくとムーブメントが安定せず、ミスをしかねません。

また裏側の文字盤を、むき出しにした状態で机に置いたりすると傷も心配です。固定台を使用すれば、裏側も浮いた状態になってますので安心です。

実際の作業としては、腕時計のケースから、ムーブメントを取り外してからが出番です。取り出したムーブメントを固定台に固定し、分解作業を進めていく事になります。

オーバーホールやムーブメントの根深い箇所の修理の場合等、専門的な知識が必要な修理になる程活躍する工具です。

ムーブメントを分解していくような作業を行う場合は必需品です。安定して作業が行えます。

コジアケ

コジアケ

腕時計の裏蓋が、はめ込み式の場合に必要となってくる工具です。

はめ込み式の裏蓋には、ごく小さな隙間がある箇所があります。この隙間にコジアケの刃を差し込み、力を入れる事で裏蓋が外れます。

はめ込み式の裏蓋は固く、慣れない内は外すのが大変な作業です。力を入れた際に滑ってつい手にあたって怪我する危険もあります。

コジアケの先端は、鋭く尖っていますので注意が必要です。

コジアケの代用で、小型のナイフの使用を聞いた事がありますがお勧めできません。刃先の滑る危険性から、大けがの危険があります。

ビンテージ品の腕時計は更に裏蓋を外すのが大変な場合があります。裏蓋近辺に、錆びや汚れの固着があるからです。

ビンテージ品の場合は、裏蓋近辺を綺麗に清掃し、注油後取り外す事をお勧めします。

コジアケを使った裏蓋の取り外しにはコツがいりますので、ジャンク品等で練習するとよいでしょう。

刃先を滑らし怪我をしないよう、タオル等で腕時計をくるんで作業をすると安心です。

剣抜き、剣押さえ(文字盤保護シート)

剣抜き、剣押さえ(文字盤保護シート)

時計の針の取り付けや、取り外しの際に必要になる工具です。時計の針を取り外したい場合は、剣抜きの工具を使用します。逆に取り付けを行う場合は、剣押さえを使用します。

時計の針はとても繊細です。少しテンションがかかったくらいでも曲がったりします。指先などで、無理に引き抜いたりするのは厳禁です。

剣抜きで時計の針を取り外す際は、時計の針が同じ向きまたは対角線の位置にある時が良いです。ムーブメントに内の部品にも、負担が掛かりません。

時計の針の取り外しの際、文字盤に傷がつかないか気になる方は「文字盤保護シート」を下にひくと安心です。文字盤に傷が付くと、その傷は意外に目立ちます。

時計の針や文字盤は、1番目につく所なので慎重に作業しましょう。

バネ棒外し

バネ棒外し

腕時計のベルトの取り外しや、取り付けの際に必要になる工具です。

時計本体とベルトは、バネ棒という金属の棒を使って止めています。バネ棒は少しだけ伸縮しますので、バネ棒外しで押し込んであげる事で外します。

金属製ベルトよりも革製のベルトの方が取り外ししやすいです。金属製ベルトはバネ棒がベルトの奥に入り込んでいる事が多く意外に大変です。

また、バネ棒は古いものになると、伸縮しなくなってしまう場合があります。その時は無理をせずに、バネ棒に油をさして暫く経ってから外すと良いでしょう。

バネ棒外しも使い続けると刃先が痛んできます。バネ棒への引っ掛かりが悪くなってきた場合は研いで使いましょう。因みに刃先の交換も可能です。

バネ棒外しは、ベルトの交換の際は必需品です。ご自身でベルトの交換をしたい場合は、ご購入されてみて下さい。

革製ベルトの交換であれば、難易度も低く自分で交換も割と簡単にできます。

しかしバネ棒外しの刃先は鋭利です。コジアケと同様、誤って怪我しないようくれぐれもご注意下さい。

キズミ

キズミ

腕時計修理用の拡大鏡になります。目の周りのくぼみに挟み込み、使用する工具です。目の周りのくぼみに挟むので両手が使え、とても便利です。

腕時計の部品は、一つ一つが小さいです。分解や修理する際に、キズミで確認しながらでなければ作業が困難な所があります。

特にレディース等の小物の分解は、常時キズミで確認しながらの作業になるのではないでしょうか。

キズミは目の周りに挟み、腕時計にピントを合わせて使います。キズミには倍率があり、倍率が高い程拡大して見れます。

しかし高い倍率はピントが近くなり、時計により近づかなければなりません。

あまりに時計に近づきすぎるのも作業がしづらいので、程よい倍率(5倍程度)のものを使われてみて下さい。

後、キズミは時間時間が経つと埃がたまってきます。私は埃を安易に拭き取りましたらレンズに傷が入ってしましました。

清掃する場合は水洗い後、きめの細かいクロス等で丁寧にふきあげてあげましょう。

キズミは修理用の専門工具ですが、レンズを通して眺める機械式ムーブメントの精密な動きは時間を忘れてしまう程です。

機械式腕時計をお持ちであれば、マクロの魅力的な世界を眺めてみてはいかがですか。

裏蓋オープナーと時計固定器

裏蓋オープナーと時計固定器

スクリューバック式の裏蓋を、開ける際に必要になる工具です。腕時計の裏蓋の溝にオープナーの先端を差し込み、反時計回りに回す事で開ける事ができます。

スクリューバック式の裏蓋は、オープナーを使わなければ開かないほどしっかり閉まっている状態です。

防水性を守る為ですが、ゴムパッキンを挟み込みしっかりと閉めてあります。

開け方は、腕時計をまず時計固定器にセットします。時計に強い力が加わりますので、ずれたりしないようしっかりと閉めて下さい。

次にオープナーの爪先を裏蓋の溝にあわせ、セットします。反時計回りに力を込めて回すと裏蓋が外れます。

この時、固定台にしっかりセットしていないと、時計がずれた拍子にオープナーが横滑りしてずれる事があります。

オープナーの爪先は硬度があるため、ずれた拍子に裏蓋に線傷が入る事ありますので、くれぐれもご注意ください。力を込めて回す際に、神経を集中させ、ゆっくり回すとずれた時に分かりやすいです。

スクリューバック式の裏蓋の開閉には、必要な工具になります。自分で電池交換など行いたい場合は、揃えておいても良いでしょう。

重複しますが、オープナーの爪先で裏蓋に傷をつけてしまう事は起こりやすいです。一度ついてしまった傷はとれませんので、細心の注意を払って下さい。

四ツ割

四ツ割

ムーブメント(時計の駆動をつかさどる部分)の分解や修理で、出番が出てくる工具です。別名はピンバイスともいいます。

主にはムーブメントの奥の部品、ツツカナを引き抜く時に必要です。

その他にはゼンマイ部分の香箱芯という部品を掴んだり、竜頭(腕時計を操作する出っ張り)を取り付ける際の巻き芯を固定するのにも使用します。

ツツカナや巻き芯いった部品は、精密な部品です。破損させないためにも必要な工具になってきます。

四つ割りを使うにあたっては以前、こんなトラブルはありました。腕時計を分解する中で、いつものごとくツツカナを四つ割りで引き抜き、部品を取りました。

しかし、引き抜いたまま工具から部品を取らずに作業を進めてしまったんです。

いざ組み立てる時には、四つ割りにつけたままであることはすっかり忘れており、部品をなくしてしまったとあちこち探すはめに!とこんな事がありました。

出番は少ないのですが、腕時計を分解するには必要になってくる工具です。目的に応じて、必要であれば揃えてみてはいかがでしょうか。

裏蓋閉め器

裏蓋閉め器

裏蓋閉め器は、取り外したはめ込み式裏蓋を取り付ける際に必要になる工具です。コジアケを使って開けた裏蓋は、こちらの工具を使い取り付けます。

指先の力で裏蓋をはめるのは困難です。また他の器具等では、風防に傷や割れてしまう恐れがあります。

裏蓋閉め器であれば風防が、痛まないようにくぼんだ形状の作りになっています。

取り付け方法は、裏蓋のサイズに合わせてコマを付け替えます。腕時計と裏蓋を重ねてセットし、押し込む事で取り付けを行います。

裏蓋が閉まると「パチン」と小気味良い音を立て、閉まった事を知らせてくれます。

注意点は裏蓋外周に均一に力が加わるようにすることです。均一に力が加わらなければ、閉める事はできません。

また一番の注意点は、裏蓋のサイズとコマのサイズがあってない時です。裏蓋よりもコマが小さいと中心に力が加わってしまい、裏蓋の外側にひびが入る事があります。

古いビンテージ品の腕時計で、裏蓋にひびが入っているのを見かけたことはありませんか?裏蓋の外側の小さな亀裂は、裏蓋の取り付け失敗によるものだと考えられます。

裏蓋にひび

写真の様な外側のひびは裏蓋閉め器によるものです。裏蓋にひびが入ったら防水性はなくなりますのでご注意下さい。

はめ込み式裏蓋タイプの腕時計であれば、必要になります。コジアケとセットで購入されると良いでしょう。

オイル指し、時計油

オイル指し、時計油

分解し、洗浄した時計の部品に油を指す場合に必要になってくる工具です。

ムーブメントを分解すると、紫色した石(宝石)がいくつかあると思います。この石の穴の部分に油を指します。

油を指すと歯車の動きが滑らかになり、快調に動作するようになります。結果、腕時計の寿命も延びます。

油を指す量は極小量になります。油の量が多いと、今度は時間と共に油が固着してきます。固着すると、歯車の動きが悪くなり時計が動かなくなったりするんです。

加減が分からない内は無理して、注油しない方が良いでしょう。

ここまでくるとかなり専門的な分野になります。とはいえ完全に分解するのであれば、注油して組み上げたいものです。注油の量にはくれぐれもご注意下さい。

腕時計タイプ別の修理用工具選び方

上記で紹介しました工具は、修理の内容によって使うものが変わってきます。次は修理の種類別に必要な工具をピックアップしていきたいと思います。

クオーツ腕時計の電池交換で使用する工具

必要な工具
  1. ピンセット(通電しない素材。プラスチック製等)
  2. 精密ドライバー
  3. バネ棒はずし(裏蓋を開ける際、ベルトを取り外さないといけない場合)
  4. コジアケ(はめ込み式の裏蓋の場合)
  5. 裏蓋閉め器(はめ込み式の裏蓋の場合)
  6. 裏蓋オープナー(スクリューバック式の裏蓋)
  7. 時計固定器(スクリューバック式の裏蓋)

裏蓋のタイプに合わせた取り外しの工具と、実際に電池交換を行う時に作業するピンセットとドライバーが必要です。

ピンセットは、プラスチック製等の通電しない素材のものをお使いください。

電池交換の際、1番の注意はコイルに触れてしまわない事です。コイルが切れてしまうと、電池を入れ替えても動く事はありません。

また、コイン電池は金属製のピンセットで掴むと放電する事があります。ピンセットの素材は金属製でないものを使うようにして下さい。

割とお気軽に行えそうな電池交換ですが、注意点を見誤ると思わぬトラブルにもなりかねません。

裏蓋が固くて開かない、開けてみたら電池と外すのが大変そうだ、と少しでも不安を感じたら無理をせず、店舗にて交換しましょう。

クオーツ腕時計で使用するコイン電池の種類について

電池の規格について

SR621 S:酸化銀電池 R:円筒形 外形×厚み 621:6.8mmx2.1mm
SR626 S:酸化銀電池 R:円筒形 外形×厚み 626:6.8mmx2.6mm
SR920 S:酸化銀電池 R:円筒形 外形×厚み 920:9.5mmx2.0mm

 

品番の下3桁は、コイン電池サイズ(直径×高さ)を表しています。

もし電池を交換しようと腕時計を開けた時に電池が抜かれていても、ノギス等で電池穴のサイズを測れば電池の品番を洗い出せます。

表の型番のコイン電池は、よく使う事になるサイズの電池です。大きいサイズのコイン電池程、メンズサイズの腕時計に使われている事が多いです。

ネットオークション等で購入した腕時計が、電池が抜かれている事があります。理由は電池切れのまま長期間放置すると、電池の液漏れが発生する恐れがあるからです。

電池が抜かれている腕時計であっても、電池の型番が分からないと諦めず、サイズを測って取り付けてみましょう。

ビンテージ品の手巻き腕時計の分解、組み立てに必要な工具

必要な工具
  1. ピンセット
  2. 精密ドライバー
  3. 固定台(ムーブメントホルダー)
  4. コジアケ
  5. 剣抜き、剣押さえ(文字盤保護シート)
  6. バネ棒はずし
  7. キズミ
  8. 裏蓋オープナーと時計固定器
  9. 四ツ割
  10. 裏蓋閉め器
  11. オイル指し、時計油

上記すべての工具が必要です。

完全に分解してしまうには、紹介した工具を駆使して分解する事になります。

初めて分解にチャレンジする方や慣れていない内は、スマートフォン等で写真とりながら分解していくと、組み立てが分からなくなるといったトラブルは少なくなります。

以前、ある時計店にオーバーホールを出した事があるのですが、そのお店の店主の方が、部品の組み立てをわすれないように写真に撮って分解していました。

一風変わった仕組みの自動巻き腕時計でしたので、写真を撮ったんだと思います。

腕時計の分解には専門的な知識と、手先の器用さは必須です。

チャレンジする場合は、オークション等で売られているジャンク品などの安価な腕時計で試していくほうが安心です。普段愛用する腕時計を分解するのは止めておいて下さい。

ベルト交換時に必用な工具

必要な工具

バネ棒外し

ベルトの交換であれば、バネ棒外しががあれば取り外し可能です。しかし金属製ベルトの場合は、取り外しにコツがいります。

金属ベルトに傷をつけてしまう恐れもあるので、ベルトの形状を確認し、難易度が高そうでしたら無理しないほうが良いでしょう。

革ベルトであれば特に問題なく交換が可能です。しかしバネ棒外しの刃先は鋭利なので、誤って手先に当たって怪我をしないよう注意してください。

ベルトの取り外しの際のトラブルで一番多いのは、バネ棒を飛ばしてなくしてしまう事です。無くしてしまうと別途購入が必要になり、無駄な出費になってしまいます。慎重に作業してください。

もし、なくした場合はノギス等でラグ幅(腕時計のベルトをつける部分の幅)を測り、サイズの合う長さのバネ棒を取り付けましょう。

腕時計用の修理工具の購入方法

腕時計の修理工具は、どこで購入するのでしょうか。理想は実際に手に取って確認したいものですが、時計工具の専門店はなかなか近くにないものです。

ですので、基本はやはりインターネット上で購入する事が多くなってくると思います。

お勧めは、工具専門店のネットショップです。

しかし意外にもネットオークションには、廃業した時計店の貴重な工具が出品される事があります。

タイミングがあえばネットオークションでの購入も、検討してみてもいいと思います。

インターネット通販(ネットショップ)

工具専門のネットショップが存在、アマゾンや楽天でも専門店が軒を並べています。

国産の有名メーカーから、スイス製まで多岐に渡ります。良質な工具が揃ってますので1番のお勧めです。

製造メーカーの記載があるものは、しっかりとした作りになっており、長く使えます。ただ手に取って確認できないところが不安なところです。

使用する工具によっては実際に手にしたいものもあります。不安な場合はお近くに店舗があるなら、実物を見に行ってみるのも良いかもしれません。

因みに私は、1番最初に買ったのは東急ハンズでした。工具のセットを買い、今も現役で使っています。

なるべく有名なメーカーの工具をお勧めします。国産であれば明工舎(メイコー) 、スイス製であればベルジョンあたりのメーカーですと長く安心して使えます。

ヤフオク等のネットオークション

意外に掘り出し物が見つかるのが、ネットオークションです。廃業になった時計店の工具が出品されている事があります。

時計店の工具は、当時高額であったものも紛れ込んでいることがあります。古くて錆びていたりもしますが、まだまだ使えるものが多く、使い込まれたレトロ感もあります。

骨董品のような趣きでアンティーク感も満載、更に実用できると新品にはない良さがあります。

ただ、精密ドライバーは新品の方をお勧めします。

精密ドライバーは、先端が痛むたびに研いで使います。研ぐ度に短くなっていきますので、精密ドライバー自体の寿命が短くなっています。

精密ドライバーについては長さを確認した上で入札した方が良いです。

オークションでのお勧めは「裏蓋閉め器」です。新品のものが安価で売られてはいますが、作りがチープに感じるものが多いです。

昔の物は重量感があり、ずっしりしています。

ですので、安定して作業ができます。因みに写真に掲載している「裏蓋閉め器」は、ネットオークションで購入したものです。もちろん今も現役で活躍しています。

ネットオークションには思わぬ掘り出しものがあります。普段からチェックしておくと良いでしょう。

しかし工具全般は、入札が多い傾向がありますので熱くならずに上限金額を定めて参加されてください。重複しますが精密ドライバーは、使い込まれていないか注意ください。

100円ショップ

少し大きめの精密ドライバーセットの購入ができます。専門店で買う精密ドライバー程、小さいネジには対応しておらず、多少大きくなります。

その他電池交換のセットやベルト調整工具のセットなども販売されているようです。

ドライバーのセットは割とお勧めです。中の機械には使えませんが裏蓋がネジ止めのタイプの時には役に立ちます。もちろん先端が痛んでくれば研いで使う事もできます。

私が購入したものは、プラスドライバーとマイナスドライバーが混ざって入っているタイプでした。

工具専門店で買った精密ドライバーは、マイナスのみでしたのでプラスドライバーは重宝しました。腕時計の裏蓋がネジ止めのタイプは、きっと活躍してくれます。

電池交換のセットやベルト調整工具のセットについては使用した事がないのでコメントは差し控えます。

ただドライバーのセットはお勧めです。安いので持っておいても損ではないです。

まとめ

如何でしたでしょうか。これから工具を揃えるにあたって参考になれば幸いです。まずは目的にあったものから集めてみてはいかがでしょうか。

小型で魅力的な形状の工具なのですが、作業中に手先を怪我してしまう事が意外と多いです。

注意していても慣れないうちはトラブルも多いので、怪我の危険を意識して作業してほしいです。

腕時計の分解にチャレンジする場合は、まずは安価なジャンク品をネットオークション等で購入し、練習されてみてはいかがでしょうか。

時計のサイズもなるべく大きく、国産のビンテージ品が良いでしょう。更に文字盤もシンプルなノンデイトタイプ(カレンダーがついていない)が分解しやすいです。

最後になりますが工具の購入については、初めはオークションではなくネットショップまたは店舗をお勧めします。

オークションは確かに掘り出し物出るときがありますが、いくつか手に入れて使ってみてからでないと、なかなか工具の良し悪しが判断できないと思います。

オークションで熱くなってしまい、高額で落札してしまうのも後悔の元です。