さあ、時計を使おうとリューズ(竜頭)を巻き上げるも、いつものように動いてくれない。更に竜頭を回してゼンマイを巻き上げていると一杯に巻き上がってしまった…
こんな経験をされた事はありませんか。もしくはすでに一杯に巻き上がっている時計を入手してしまい、リューズが動かせない状態なのかもしれません。
ゼンマイを巻いても時計が動かないという事は故障?と不安なものです。しかし以前までは動いていたのであれば、中の部品が壊れてしまったとも思えません。
では何故いったい原因は何処に…今回はリューズが回せなくなる原因について紹介していきたいと思います。
リューズが動かせなくなる原因
リューズが動かせなくなるのは、ゼンマイが一杯に巻き上がってしまい、回せなくなってしまうのです。原因としてはこちらが考えられます。
①と②の違いは時計にダメージを与えているか否かです。時計を落としたり等のダメージを与えていなければ、「メンテナンス不足」の可能性が高いです。
③の「錆びの発生」は、水没等の水に濡らしてしまっていれば、可能性の一つとして考えられてみて下さい。
では早速確認してみましょう。
時計のメンテナンス不足
時計を長期間メンテナンスしないと動作が鈍くなり、スムーズに時計の動作ができなくなります。やがてゼンマイを巻いても動かなくなってしまいます。
時計はメンテナンスを行わないと、汚れが付着したり油切れを起こしたりするからです。
救いはムーブメントの部品が壊れていない可能性が高い事です。オーバーホールで十分復帰します。これ以上の負担をムーブメントにかけない為にも、無理に動かさないようにしましょう。
こんな状態で動かそうとすると、部品類に負荷がかかってしまい故障しかねません。
リューズが動かせなくなる原因で一番多いのは、メンテナンス不足からくるものになります。
落としたり何処かにぶつけたりしていないのであれば、メンテナンス不足から疑ってみるべきです。
ムーブメントの部品が破損している
時計に強い衝撃を与えた事で、リューズが動かなくなってしまったのであれば、ムーブメントの部品の何処かが破損している可能性が高いです。
時計は精密な機械です。衝撃には弱いもの、新しいモデルの時計であっても安心はできません。
私がうっかり時計を落としてしまった時は、時計の心臓部でもある「テンプ」の針が折れていました。アンティークの懐中時計だったのですが、そんな高い所からでもなかったので、動かなくなっていたのはショックでした…
時計に強い衝撃を与えた事で、動かなくなってしまったのであれば修理も含めた対応が必要になってくる可能性が高いです。
一番は、高い所から落としたりぶつけたりしないよう注意する事にはなります。特に機械式時計は気を付けたいものです。
リューズ回りの部品が錆びて固着してしまっている
リューズに関連する部品が錆びてしまうのも、メンテナンス不足に類するものにはなります。メンテナンスしない状態が、更に長くなった状態といった所でしょうか。
汗などの水気が、リューズの部分に侵入する事で錆びが発生するのです。
リューズ回りは実は一番錆びが発生しやすい箇所になります。リューズとケースの間には若干の隙間があるからです。この隙間より水気が侵入する事になります。
当然防水用のパッキンも取り付けてありますが、ゴム製だけに劣化していくものです。劣化した状態では、防水の役目は果たさないのです。
時計を濡らしてしまい、更に長期間の放置と、発生する可能性としては低いのかもしれません。しかし竜頭の部品は錆びやすいです。
時計に水気を近づけないように気をつけた方が良いです。汗はこまめにふき取ってあげて下さい。
リューズ回りでその他に発生する可能性のある不具合
竜頭回りは不具合が発生しやすい箇所になります。
時計を操作する為、負荷が掛かりやすい部分でもあります。また時計ケースとの間にはスペースがあるので、小さなゴミや湿気等が侵入しやすくもあるのです。
紹介するのは、過去にリューズの回りで実際に発生したトラブルになります。
時刻合わせの時にリューズが、異常な程に軽く回せてしまう
時刻合わせを行う際に、少しの抵抗もなく竜頭が回せてしまう不具合です。
これは不具合?と思うかもしれませんが、軽すぎるために時刻を合わせて竜頭を押し込むと針が動いてしまい、思った時刻に合わせるのが難しかったりします。
コツを憶えて合わせられるようになっても、今度は時計を動かすと時間が合わなかったりします。
これは時計の部品である「ツツカナ」が緩んでいるからです。ツツカナは、丁度時計の中央に位置する歯車の部品になります。
アンティーク時計に発生しやすい不具合です。長きに渡って使い続けた為、緩んでくるのでしょう。
現行の時計では、あまり心配はしなくても良い不具合にはなってくるかと思われます。
竜頭の引き上げ、引き下げの操作が軽い
竜頭操作の際にリューズを引き上げたり、押し込んだりすると、小さく「カチッ」と音がして固定された状態になっています。
この固定がされず、上げ下げが軽くできてしまう不具合です。
リューズが固定されないのは、リューズ操作関連部品である「裏押さえ」が破損しています。破損しているので、リューズの上げ下げ時に固定できないのです。
リューズが固定されていないと不便です。ゼンマイを巻き上げたいのに時計の針が動いたり、時刻を合わせようとしたらゼンマイが巻き上がったりと…
「裏押さえ」が破損してしまう原因としては、金属疲労による破損です。やはり長年使い続けている事で、疲弊してしまうのではないでしょうか。
リューズ関連の部品、巻き芯の折れ
「巻き芯」は、ムーブメントとリューズを繋ぐ部品になります。折れてしまえば時計を操作する事ができなくなります。
折れる原因で一番多いと思われるのは、錆びです。特にリューズ側の根元、頭に近い方が錆びやすいです。
小さな部品とはいえ、金属の棒が折れる程錆びが、浸食するのは余程ともいえます。こちらも水に濡らしたりしないのであれば、さほど心配しなくても良いかもしれません。
リューズが抜けてしまう
リューズが抜けてしまうのは、リューズが抜けないように止めている部品のゆるみ、または破損が原因となります。
竜頭が抜けないようにしている部品名は「オシドリ」です。この「オシドリ」が先ほどお話しました巻き芯をフックし、抜けないように止めているのです。
時計を分解してく工程で、リューズを取り外さねばなりません。リューズを外す際にオシドリを緩めて外します。
オシドリは大きくはネジ止めタイプと、上から押さえつけているタイプの2種類が存在します。
ネジ止めタイプの場合は緩んで抜けた可能性もでてくるのです。そのため、リューズが抜ける現象は必ずしも故障とは決めつけられません。
ネジが緩むにしろ、破損しているにしろ、長らくメンテナンスをしていない事には起因しそうですね。
時計の長針(分針)と短針(時針)が接触している
時刻を合わせる時に、時計の針の長針(分針)と短針(時針)が接触する事で、動かせなくなる事があります。
時計の針同士が接触してしまうのは、時計の針がずれてしまい、文字盤に対して水平ではなくなってしまうからです。
ずれてしまう一番の原因は、時計を落とした等の衝撃を与えてしまった場合です。時計の針は中央の歯車にカシメるように取り付けていますので、強い衝撃でずれてしまう事もありえます。
竜頭を動かすというよりは、時計の針同士が接触した時に動かせなくなってしまうので、リューズ自体に問題があるわけではありません。
修理としては針の再取り付けで、修理代はそれほど高くはないはずです。それよりも時計の針がずれてしまうほど、時計に強い衝撃を与えてしまった事による外傷が心配です。
リューズのトラブルを発生させないためには
リューズが動かなくなる原因を紹介してきましたが、原因としては「メンテナンス不足」または「思わぬトラブル」がほとんどでした。
「思わずトラブル」は避けようがないかもしれませんが、「メンテナンス不足」は気を付ける事である程度は避ける事はできるのではないでしょうか。
リューズに限らず「ちょっと時計の調子が悪いかな!」と思ったらオーバーホールを検討してみてはいかがでしょうか。
勿論調子が悪くなるのを待たず、定期的にオーバーホールするのが理想ではあります。
まとめ
如何でしたでしょうか。今回はリューズが動かせなくなる原因について紹介しました。時計に特に強い衝撃を与えていなくて、竜頭が動かせなくなった場合の原因はメンテナンス不足と明確でしたね。
竜頭が動かせないのは、時計が動かなくなっている、にプラスしてゼンマイが一杯に巻き上がっている状態です。ひとまずはこれ以上竜頭を動かさないように注意されて下さい。
無理に動かせばゼンマイが切れてしまうかもしれません。
その後は時計店等で修理となると思われるのですが、ゼンマイの動力を持ってしても動かせない状態です。オーバーホール対応の可能性が高いです。
可能でしたら動かなくなる前に対応をお勧めします。まずはお気軽にお近くの時計店で点検してみてはいかがでしょうか。
腕時計の修理やオーバーホールは時計店に持ち込みしなくとも、オンラインで修理の依頼ができるサービスも存在します。
受付け完了後、梱包キットが送られてくるので、キットに梱包して郵送するだけです。時計店に明日を運ばなくても済むのは楽で良いですね。
修理やオーバーホールに掛かる料金は、時計修理店にて受け取り後、お見積りという形になります。もし予算にあわないようでしたらこの時点でキャンセルも可能です。
WEB上で完結する時計修理サービス、検討してみるのも良いのではないでしょうか。
紹介します3社の共通点は、ハイレベルな技術力と圧倒的なコストパフォーマンスでお客さんを満足させるというところです。
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