電池交換や内部の掃除などのちょっとしたメンテナンスを、自分自身で行おうとした場合、必要なのは裏蓋を開ける事です。
でも裏蓋を開けるのって、結構大変ではありませんか?私はまだ慣れていない頃は、固くて中々開かなくて、その内指先が痛くなってきてしまい諦めてしまう事は何度もありました。
指先だけではなく、時計側にも傷を入れてしまう可能性があります。裏蓋を開ける工具は裏蓋の材質よりも硬度があるため、裏蓋に傷を入れてしまうのは、珍しい事ではありません。
作業が終われば裏蓋を、閉めて元に戻す事になるのですが、閉めるのもまた大変です。滅多な事では外れない仕組みになっているので、そもそも相当な力で圧着しているのです。
簡単そうに見えて実は難しい、裏蓋の開け方や閉め方について解説していきたいと思います。
裏蓋を開けるのにチャレンジしようとしている方、裏蓋が閉まらなくなってお困りの方など時計の裏蓋でお困りでしたら是非ご覧になられてみて下さい。
時計の裏蓋タイプの確認
時計の裏蓋には3種類のタイプが存在します。まずは裏蓋のタイプを確認してみましょう。裏蓋のタイプによって、開け方や閉め方が変わってきます。
裏蓋のタイプで使う工具でさえ同じではありません。無駄な出費とならないよう、裏蓋のタイプは把握しておいたほうが良いです。
裏蓋のタイプによって、裏蓋の開け方や閉め方は違うのです。
はめ込み式の裏蓋
裏蓋がケースの溝に、圧着する形で閉められているタイプになります。裏蓋に何かを引っ掛ける溝もなく、ケースについている状態でしたら「はめ込み式」だと思われて下さい。
アンティーク時計で見かける機会が多いのですが、現行の時計でもこのタイプの裏蓋は存在します。
はめ込み式は一見時計のケースとの見分けもつかない程自然にくっついているので、開くのかな?と迷うかもしれません。
また数は少ないのですが、ケースの形状がワンピースタイプの時計も存在します。ワンピースタイプは裏蓋がないのです。
私自身、ワンピースタイプのケースとはめ込み式の裏蓋との見分けがつかず、裏蓋を開ける為の隙間を永遠と探した記憶があります…
ただワンピースタイプのケースは数がとても少ないので、そこまで意識しなくても大丈夫かと思われます。
見分けのつきにくいタイプだけに、裏蓋を開けたり閉めたりするのは少々てこずりそうです。
スクリューバック式の裏蓋
裏蓋に4~6ヶ所の溝があるタイプの裏蓋になります。現行の時計で見かける機会が多いように感じます。アンティーク時計などの古い時計では、あまり見かけないようです。
こちらのタイプの裏蓋の開け閉めはそれほど難しくはないです。ただ時計の裏側は汚れや汗などの水気が付着しやすい箇所になります。
長らくメンテナンスされていない時計になってくると、裏蓋近辺に汚れや錆びが付着してしまい、開けづらくなっている事もあります。
スクリューバック式の裏蓋に限った事ではなのかもしれませんが。
スクリューバック式の裏蓋は割と開けやすいです。閉まらないといったトラブルも少ないのではないでしょうか。溝の部分も確認しやすいです。
ネジ止め式の裏蓋
裏蓋とケースをネジで止めているタイプになります。ネジ止めと聞くと身近に感じるかもしれませんが、時計の裏蓋をネジで止めているとなると、見かけた方は少ないのではないでしょうか。
私自身は、1970代のビンテージ品の時計でいくつか見かけた程度です。
四角い形状のケースの、裏蓋に使われている事が多いです。四隅をネジで止めて取れない様にしています。
ドライバーでネジと緩める事で裏蓋の開け閉めができますので、このタイプは苦労しないかと思われます。
裏蓋のタイプ別の開け方
次に各タイプ別に裏蓋の開け方を、確認していきたいと思います。使う工具も併せて紹介していきます。
アンティーク時計などの古い時計は、ケースと裏蓋が固着してしまい、必要以上に固く食い込んでいる可能性もあります。
裏蓋とケースの隙間の汚れが目立つようでしたら、予め油を差しておくとスムーズに開ける事ができます。
はめ込み式の裏蓋
裏蓋を開ける工程です。
裏蓋を開けるに必要な工具は「コジアケ」になります。ケースと裏蓋の隙間を見つけるのが難しい場合は、「キズミ」も用意しておくと良いです。
ケースと裏蓋の隙間に極々小さな隙間がありますので、その隙間にコジアケの刃を押し込む事で裏蓋が取れてくれます。
コジアケの刃がケースを傷つけてしまう事が多く、ある程度の傷は覚悟しておいた方が良いかもしれません。
感覚的になりますが、なるべくケースと水平になるように押し込んでいくと良いようです。
コジアケの刃先は鋭利です。小さな隙間に差し込むのに失敗した際、手元にコジアケの刃があたる危険もあります。私自身何度か怪我した事もあります。
慣れない内は時計をタオルなどでくるみ、作業した方が安全です。3つのタイプの中で一番難易度が高い裏蓋になります。
スクリューバック式の裏蓋
裏蓋を開けるには、以下の作業を行います。
必要な工具は「固定器」「オープナー」になります。
オープナーは時計のサイズに合わせて調整可能です。時計の凹部分に引っかかるよう合わせます。
そのあとは時計が動かないように固定し、差し込んだオープナーの取手に力を入れてゆっくり回してあげれば、問題なく外れてくれるはずです。
簡単そうですが注意点はあります。基本的な事ですが、時計が動かないようにしっかりと固定する事です。
作業している最中に時計が動いてしまうと、オープナーのツメが凹の部分から外れてしまい、ツメが裏蓋を擦る事で傷が入ったりします。
裏蓋はステンレススチール製ですので、傷を取り除くのは困難です。動かない事を確認し、急がずにゆっくり回すようにしましょう。
スクリューバック式は如何に安定的にケースを固定するのかが重要です。
ネジ止め式の裏蓋
ネジ止め式タイプは止めてあるネジを外す事で、裏蓋を外す事ができます。一番簡単に裏蓋を開ける事ができる形状なのかもしれません。
しかしネジ止めも注意点はあります。ネジ山を潰してしまわないよう、ネジ山にあったドライバーを使ってあげる事です。
時計の修理で使う精密ドライバーでは小さすぎる事が多く、かといってホームセンターで売っているドライバーでは大きすぎたりします。
裏蓋が取れないようにかなりしっかり止められているはずです。ドライバーのサイズは間違えないようご注意下さい。
裏蓋が閉まらなくなる裏蓋のタイプは圧倒的に「はめ込み式」
3つのタイプの裏蓋を確認してきましたが、やはり一番難易度が高いのは「はめ込み式」の裏蓋です。
もし外した裏蓋を元の通り取りつけできずに困っているのであれば、はめ込み式の裏蓋の時計ではないでしょうか。開けるのも大変でしたね。
「スクリューバック式」「ネジ止め式」は言わばネジで止められているようなものです。外した方向とは逆の時計回りに回すだけで閉める事が可能です。
はめ込み式の裏蓋を取り付けるためには、またケースに圧着してあげなければなりません。この作業が難しくて閉める事ができないのです。
この難易度の高いはめ込み式の裏蓋の取り付けを確認してみましょう。
「はめ込み式」の裏蓋の閉め方
「はめ込み式」の裏蓋はその固さから、時計修理用の工具を使って閉めます。使う工具はこちらです。
サイズの違うコマが数種類ありますので、裏蓋を閉めたい時計のサイズにあるコマを閉め機にセットし、上下から圧をかける事でしまってくれます。
難易度は時計によって変わってきます。指先の力で閉まるものや、時計修理工具を使っても難しい時計と様々です。
工具を使って閉める際の注意点は何といっても、サイズの合ったコマを使う事です。小さすぎるコマを使うと、裏蓋にひびが入ったりします。
裏蓋に均一に圧が掛からず、外側にいらぬ力が加わってしまうのです。これはコマに限ったことではありません。
裏蓋閉め機を使わずに、その他の簡易的な方法で閉めた場合も同様です。
はめ込み式の裏蓋を取り付ける際に注意したい点をまとめます。
「裏蓋の隙間が9時位置にくるようにセット」は補足があります。何故9時位置にセットしたおいた方が取り外す際に作業しやすいからです。
裏蓋の隙間があったのも、9時位置ではなかったでしょうか。9時位置以外だとリューズやラグが邪魔です。
はめ込み式の裏蓋は、上記3点に注意して慎重に作業してみましょう。
時計の裏蓋を閉めるのが難しいと感じた時は、時計店に相談してみる
時計の裏蓋の形状を把握し、工具を揃えて万全な状態であったとしても、上手くいかない場合もあるかもしれません。時計は精密な作りだからです。
そんな時は無理に作業を進めるのではなく、時計店に任せてみてはいかがでしょうか。壊してしまったり、傷を入れてしまったりすれば取り返しがつきません。
例えば電池交換ですが、1,000円~2,000円程の料金で行ってくれます。もし電池交換で裏蓋を開けたいのであれば、苦労して交換するより時計店に任せた方が良いようにも思えます。
時計の工具を揃えるのも、安くはありません。
開ける事はできても閉められなくなった、などのトラブル発生時は早めに時計店に持ち込んでみましょう。
まとめ
今回は時計の裏蓋の開け方や閉め方について解説してみました。特に「はめ込み式」の裏蓋の難易度が高かったですね。
ではおさらいしていきます。まず作業を行う前ですが、古い時計や裏蓋を長く開けていない時計の場合は、事前に裏蓋回りに油を差しておくと良いです。
ケースと裏蓋がゴミや汗などで固着してしまっていると、元々固いのに更に強固になってしまっている可能性があります。
裏蓋の開け閉めの際に必要な工具はこちらになります。
- コジアケ
- 裏蓋閉め機
- キズミ
- 固定器
- オープナー
- 精密ドライバー
裏蓋のタイプによって使用する工具が変わってきます。自分自身で作業される場合は、裏蓋のタイプに合った工具を揃えられて下さい。
はめ込み式の裏蓋を取り付ける際に注意したい点もおさらいしておきましょう。
どの裏蓋のタイプであっても、慎重に作業する事が重要です。無理をせず、やれる範囲内で作業されて下さい。
腕時計の修理やオーバーホールは時計店に持ち込みしなくとも、オンラインで修理の依頼ができるサービスも存在します。
受付け完了後、梱包キットが送られてくるので、キットに梱包して郵送するだけです。時計店に明日を運ばなくても済むのは楽で良いですね。
修理やオーバーホールに掛かる料金は、時計修理店にて受け取り後、お見積りという形になります。もし予算にあわないようでしたらこの時点でキャンセルも可能です。
WEB上で完結する時計修理サービス、検討してみるのも良いのではないでしょうか。
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