アンティーク時計等の古い時計に使用されている事の多い「プラスチック製」の風防、傷が入っている事が多いですよね。
プラスチック風防だけに普段使用しているだけでも、少しずつ傷がついていきます。時計を使用するうえで、ある程度の傷も致し方ない部分もあります。
プラスチックの様な柔らかい素材だけに、「仕方がない」と諦めたりしていませんか?確かに傷のつきやすい素材なのですが、逆に言ってしまえば傷も取りやすい素材になります。
この風防なのですが、プラスチック製の素材であれば研磨する事で傷をなくす事ができます。
今回はプラスチック製の風防の研磨について紹介したいと思います。実演動画もありますので、併せてご覧下さい。
時計に使用されている風防の素材の見分け方
まずは風防の素材を見分けるようにしまししょう。ポイントはこちらになります。
因みに時計の風防には3種類の素材が使用されています。「サファイアガラス」「ミネラルガラス」「プラスチック」です。
この中で「サファイアガラス」は、滅多に傷がつく事もありませんので、今回は除外します。
問題になってくるのは「ミネラルガラス」と「プラスチック」の違いです。どちらも傷が入るケースが多いからです。
素材の判断についてですが、まずは「時計の製造された年代」から推測する事ができます。アンティーク時計等の古い時計は、風防の素材にプラスチックが使われている事がほとんどです。
1970年代辺りまで、プラスチック風防が使われている事が多いです。そのためアンティーク品の時計であればかなりの確率でプラスチック風防である可能性が高いです。
「風防への傷の入り方」でも判断する事ができます。
「プラスチック」は傷の場合は、線傷のようなすっとした入り方をしている事が多いです。素材自体が柔らかい為、傷もスムーズに入ってしまうのです。
一方「ミネラルガラス」は粘り気のある素材のため、傷の入り方が粗くなります。深い傷になるとえぐれているような粗目の傷が目立ちます。
粗目の傷が多いようでしたら、ミネラルガラス製の可能性が高いです。
お勧めはできませんが、サンドペーパーで擦ってみるのも見分けができます。プラスチック製の場合は、削ると風防が白く濁ってきます。
しかしこれではプラスチック製以外の素材だった場合に、擦った面に傷が入りかねません。風防にダメージを与えない方法を探った方が良さそうです。
2点のプラスチック風防の見分け方を紹介しました。少々慣れが必要ですが「年代」と「風防への傷の入り方」から総合的に判断してみてはいかがでしょうか。
どの素材も透明で分かりづらい所ではありますが、まずは作業前にしっかり風防の素材を見分ける様にしましょう。
これから紹介します研磨は、プラスチック以外の風防では使用しないようにして下さい。「ミネラルガラス」「サファイアガラス」は共に頑丈な素材ですが、紙ヤスリで研磨をすると傷がつく可能性があります。
プラスチック風防研磨に必要な道具
必要な道具類はこちらになります。
「サンエーパール」以外は近くホームセンター等、で安価で購入できるものばかりです。
揃える道具について補足します。
「ビニール手袋」は薄手で、手にフィットするタイプがお勧めです。時計の風防の面積が小さいので、手に馴染みやすいと作業しやすくなります。
「マスキングテープ」は車用のもので問題ありません。「サンエーパール」は時計の風防用の研磨剤です。
「サンエーパール」のみアマゾンのネット通販で購入しています。1,000円程で高くありませんでした。
「布」はサンエーパール拭き取り様です。可能であれば綿100%の素材がベストです。高いものを揃える必要はありません。着られなくなった肌シャツ等で大丈夫です。
動画で使っている布も、破れて使えなくなった肌シャツの切れ端を使っています。
この道具に合わせ、用心の為「マスク」をした上で作業されると良いかもしれません。紙ヤスリでプラスチック風防を擦っている最中、削れたプラスチックの粉が出てしまうからです。
では早速作業に取り掛かりましょう。
マスキングテープで時計のケースを覆う
まずは時計ケースを保護する為に、マスキングテープで覆ってしまいましょう。
紙ヤスリで風防を研磨していく事になりますが、繰り返し作業していますと、どうしてもケースに紙ヤスリが当たってしまう事があるからです。
紙ヤスリであっても、ケースに当たると傷がつく事があります。私自身、数多く風防の研磨をしてきましたが、注意しているつもりでも、うっかりケースに当ててしまう事が多かったです。
風防は湾曲になっているタイプも存在する為、斜めに紙ヤスリをあてるケースもありえます。時計ケースに傷を入れてしまわない為にも、厳重にケースを覆ってしまいましょう。
紙ヤスリを使ったプラスチック風防の研磨 #600
いよいよ研磨作業にはいります。まずは#600番の紙ヤスリで荒削りを行い、傷を取ります。
#600番台は仕上げ用の研磨に類しているようですが、時計の風防はこの番手でも十分削れます。紙ヤスリで研磨をすると、透明だった風防がみるみる白っぽくなります。
もし風防に深い傷がないようでしたら、#600番の紙ヤスリの研磨は飛ばして頂いても構いません。
紙ヤスリの使い方ですが、線になるように上下もしくは左右に移動するように擦りましょう。この時、上から押さえつけ過ぎると風防が割れてしまう事があるのでご注意下さい。
紙ヤスリが目詰まりしたら、新しい紙ヤスリに取り換え研磨する事を繰り返します。紙ヤスリの目が詰まりやすいので、事前に紙ヤスリを小さく切って準備しておくと良いかもしれません。
傷が薄くなるまで、削れたら#600番の紙ヤスリの研磨は完了となります。完全に傷が消えるまで磨かなくても大丈夫です。まだ#1000番の紙ヤスリ、仕上げの磨きと表面を研磨するためです。
紙ヤスリを使ったプラスチック風防の研磨 #1000
次に#1000番の紙ヤスリで研磨します。#600番の紙ヤスリで削った粗い面を滑らかにするのが目的です。
#600番の紙ヤスリで削った方向とクロスするように、研磨していきます。例えば#600番の紙ヤスリの時に上下の方向に研磨していれば、#1000番の紙ヤスリは左右といった研磨です。
#600番の紙ヤスリで研磨してできた溝をなくしていくイメージを持たれて下さい。
#1000番の紙ヤスリも上から力を入れすぎないようご注意下さい。#1000番の紙ヤスリの研磨は、風防の状態の変化が少ない為か力が入りやすいです。
風防の表面が滑らかになれば終了になります。この時点でも風防は真っ白な状態です。
この工程でも若干ながらであれば、傷が残っていても問題ありません。思ったより傷が深くで中々研磨できないようであれば#600番の紙ヤスリ工程に戻ってみてもよいです。
サンエーパールを使ったプラスチック風防の研磨(仕上げ)
サンエーパールを布に取り風防を研磨します。仕上げの段階です。サンエーパールで磨く事で、ようやく白く曇っていた風防がクリアになります。
可能でしたらサンエーパールの研磨も紙ヤスリで磨いた方向とクロスするように磨いた方がベストです。
最終的には上下、左右関係なく磨いてしまい紙ヤスリの溝を無くしてしまいましょう。上から強く押さえつけ過ぎないようご注意下さい。
白く曇っていた分がクリアになり、風防に光沢がでましたら完了となります。
こんな状態のプラスチック風防は交換が必要
紹介しましたプラスチック風防の研磨ですが、あくまでも表面上の傷取りになります。ヒビ割れや亀裂は、風防の交換が必要です。
その他には、アンティーク時計ならではの風防の劣化があります。
表面上は綺麗な状態ですが、光の角度によって風防に小さな亀裂が無数に入っている風防を見かけた事はありませんか。
これは長期間にわたって風防にストレスを与えた結果、小さな亀裂が入ったものと思われます。押し込む形で風防をケースに取り付けている事で、風防にストレスが掛かっていたのです。
経年劣化による小さな亀裂は、研磨では取り除く事はできません。後はあまりに深い傷も、研磨よりも風防の交換が必要になります。
研磨作業の前に今一度風防の状態を確認されてみて下さい。
まとめ
今回は時計の風防の研磨について紹介しました。力加減さえ注意すれば傷取りの難易度はそう高くない事が確認できました。
風防の素材の見分けには、少々慣れが必要かもしれませんが傷の入り方も入念に確認してみましょう。プラスチック風防の場合は切ったような線傷があるはずです。
もし宜しければ、動画の方もご確認されてみて下さい。
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