時計修理 オーバーホール

時計のガラス面についた傷は歯磨き粉で傷取りできる?風防の素材によってはかなり困難!

腕時計のガラス面についた傷…かなり気になりますよね。ガラス面(風防)は、一番目につくところだけに目立ちます。

『何とかして研磨したいな…』と思われる方も多いのではないでしょうか。時計に愛着が湧けばわくほど気になるもの。

巷では「歯磨き粉」で傷取りができるとのうわさもあるのですが、果たして本当に取れるものなのでしょうか。

今回は「歯磨き粉」で腕時計のガラス面の傷は取れるのか、その他の方法で傷を取る事ができるのかについて、解説していきたいと思います。

私自身、実は様々な腕時計のガラス面の傷取りを行った経験があります

実は私、過去に時計の販売を行っていた時期があります。主には貴金属の競り市やネットオークションで中古の腕時計を仕入れ、同じくネットで販売していました。

中古の腕時計だけに状態は様々です。ただほとんどの時計のガラス面(風防)には大なり小なり傷が入っていました。

商品として販売する為には、ガラス面(風防)に傷がない方が印象良いです。

あまり動機は良くないのですが、商品としての価値を上げたいが為に、ガラス面の傷を取る方法を調べては試しました。

インターネットに載っている情報はほとんど試したかもしれません。この経験を踏まえてお話ししていきます。

まずは傷を取りたいガラス面(風防)の素材を見極める

まずは風防の素材を見極めるようにしましょう。研磨できない素材もあるからです。風防の素材は3種類あります。

風防の種類
  • サファイアガラス
  • ミネラルガラス(無機ガラス)
  • プラスチック

ここで一つの疑問点、『磨くガラス面の素材が分からない』となりませんか。私自身、磨きたい時計のガラス面の素材が分からずに悩んだものです。

まずは各素材の特徴について確認していきましょう。

サファイアガラス製の風防の特徴

風防の素材の中では、1番頑丈で傷も付きづらい素材になります。高価な素材でもあり、高級なブランドの腕時計でよく使われている素材です。

サファイアガラスは傷がつく事も少ないので、この素材のガラス面を磨きたいと考える方は少ないのではないでしょうか。

素材の見極めとしては、高級ブランド時計ではほとんどこの素材が使われています。標準装備といっても言い過ぎではないかもしれません。

高級でない場合もサファイアガラスが使われている事はあります。高級ブランド時計でなかった場合は、ケースの裏側に『SAPPHIRE GLASS』の刻印がある事が多かったです。

高級ブランドでは当たり前の素材でも、安価な時計ではセールスポイントになるといったところでしょうか。

私自身一回だけこのガラス面の、素材の研磨を試した事があります。いえサファイアガラスと分からずに研磨した訳です。

傷というよりはガラス面のフチが欠けており、滑らかにするために研磨したのですが。結果は全く変わりませんでした。

父と交代で半日作業、リューターといった工具を使ったりもしましたが、全く研磨できませんでした。

歯磨き粉では試していませんが、工具を使った研磨でも、びくともしない事から考えても効果はないはずです。

ミネラルガラス製の風防の特徴

1番見かける機会の多い風防の素材ではないでしょうか。ビンテージ品時計から現代のモデルまで、様々な時計で見かけます。

傷も入りやすく、恐らくこの素材のガラス面で、悩まれている方が多いかと思われます。

透明な素材だけにサファイアガラス、プラスチック製とも区別が付きづらく、かなり悩ましいです。

素材の判断ですが、私は風防の厚みや傷の入り方で判断していました。

ミネラルガラス製の風防は厚みがあります。分厚いのに傷のある風防は、大体がミネラルガラス製でした。

また傷の入り方も特徴的です。ミネラルガラスは粘り気のある素材であるためか、傷が入った時に大きくなりがちです。

少しえぐれた様な、傷を縫合した後のような、目立つ傷が多かった印象があります。

傷で悩まれているガラス面の素材が分からない時は、ミネラルガラスから疑ってみても良いといっていいほどメジャーな素材です。

プラスチック製の風防の特徴

3つの素材の中では、1番柔らかい素材になります。傷も1番つきやすいです。他のプラスチック製品と、同じような感じで傷が入っていきます。

しかしプラスチック製の風防は現代の時計では見かける事は少ないようです。アンティーク品などの古い時計がメインとなってきます。

もしお持ちの時計が古い腕時計でない場合は、プラスチック製の素材が使われている事はほとんどないです。選択肢から外してしまっても良いかもしれません。

プラスチック製風防の特徴ですが、柔らかくて加工しやすい素材からドーム状の形状となっている事が多いです。

傷もミネラルガラス製と、違った傷の形となります。粘り気のない素材であるためか、線を引いたような切り傷のようなイメージのものが多いです。

ただサファイアガラス、ミネラルガラスにドーム状の形状の風防がないとは言い切れない部分もあるので、形状にプラスして厚みや傷の形を見て判断してみてはいかがでしょうか。

歯磨き粉で研磨できるのはどの素材?

結果から話してしまうと『サファイアガラス』『ミネラルガラス』の素材は歯磨き粉で研磨はできません。

『サファイアガラス』『ミネラルガラス』は素材が硬すぎて、歯磨き粉に含まれる研磨剤ではびくともしないです。

唯一『プラスチック製』の風防の場合のみ研磨は可能です。しかしプラスチック製といど歯磨き粉では長く作業時間を取られる事になります。

私もプラスチック製の風防を歯磨き粉で磨いた事はあります。傷が完全に取れる事はなかったのですが、何となく薄くなるのを見て感動したのを憶えています。

その後、研究(大げさ?)を重ねていき、歯磨き粉以外のものも使い始め、更に傷取りの方法を探る事になるのですが。

歯磨き粉以外の方法で研磨する方法

実は歯磨き粉以外でも、色々な研磨剤を試しました。こちらでは、その他にどんな研磨材を試したか紹介していきます。参考までにご覧下さい。

プラスチック風防に試した研磨方法

まず試したのが「ピカール」という研磨剤でした。液ではなく半練りのものを使いました。十分効果はあり磨けたのですが、やはり腕時計という精密機械です。

もっと腕時計にダメージの少ないものと考え、時計専門の研磨剤を見つけました。売っていたのはアマゾンです。安価で使いやすい研磨剤でした。

腕時計専用の研磨剤
  • サンエーパール
  • キクモール

『サンエーパール』はプラスチック用の研磨剤です。驚くほどに綺麗に磨けます。風防に研磨剤をつけ磨くだけと、とても簡単です。

研磨の様子を動画に上げていますので、もし宜しければご覧下さい。

『キクモール』は風防専用というよりは時計全体に使える研磨剤です。当然風防にも効果はあります。

風防以外の時計ケースなどもクリーニングしたいといった、セルフケアも考えるのであれば『キクモール』を選択するのも良いです。

『キクモール』も布などにつけて磨くタイプでとても簡単です。

ミネラルガラスの風防に試した研磨方法

ミネラルガラス製の場合は、プラスチック風防で使用した研磨剤では一切効果はありませんでした。素材が硬すぎるのでしょう。

ミネラルガラス製の風防の傷取りで、試した方法はこちらになります。

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  • 酸化セリウム
  • 水ガラス

まずは酸化セリウムからお話します。『酸化セリウムはガラスの表面を溶かして滑らかにする』溶剤です。

酸化セリウムも混ざり物がない純度の高いものが良いとの事で、粉状のクリーム色のいかにも工業用品といった専門的なもので試してみました。

結果としては確かに傷が滑らかにはなったのですが、時間が掛かりすぎでした。早くて半日下手をすると1日かかる事も‥

時間短縮のためにリューターを使うと粉が舞い散る始末。この粉を吸ってしまう事もあり、人体に影響がないか心配したものです。

効果はあったのですが、このような理由から止めています。

次に試したのが『水ガラス』です。厚塗りできるガラスコート剤といったところでしょうか。確か木工用品のコート剤だったような気がします。

『水ガラス』はキズを埋めるのには十分に効果はありました。傷も割と目立たなくしてくれます。ただ塗った後硬化するのですが、表面が粗かったです。

時計以外では気にならないのかもしれませんが、時計の場合は風防の奥に文字盤があります。ガラス面の表面が粗いと文字盤がくすんで見え、何となく違和感がありました。

また硬化してしまうと液剤は取れないので、失敗した時の怖さもあり止めました。

サファイアガラスに試した研磨方法

サファイアガラスは申し訳ないのですが、試してはいないです。リューターを使い、親子で交代しつつ磨いても、効果がなかった経験もあり諦めました。

この素材の風防で傷が、気になる事がほとんどなかった事もあり、試す機会がなかったのもあるのかもしれません。

いずれにせよサファイアガラスの風防の場合は、磨くよりも交換を検討した方が良いです。

時計修理店でガラス面の研磨をしてくれる?

時計修理店ではガラス面の研磨は、残念ながらしてくれないです。

基本的には風防の交換での対応となります。風防もサイズが様々なので交換できるか事前に確認された方が良いです。

交換に掛かる費用も安くはありません。傷が気になる位での風防交換は、少々もったいないような気がします。

ヒビや割れといった大きなダメージの時に検討とした方が良いでしょう。

まとめ

歯磨き粉で、時計のガラス面(風防)の傷取りはできるのかについて解説してみました。結果としては残念ながら、効果なしとなってしまいました。

プラスチック製のみキレイに磨く事はできるのですが、やはり腕時計は精密機械です。可能でしたら時計専用の、研磨剤を使った方が良いです。

プラスチック製以外の風防については、『基本は何もしない』とした方が良いかと思われます。

研磨できても膨大に時間がかかりますし、研磨剤の吸引の危険性もあるなど、リスクが高いです。

元々風防は文字盤を守る役割。ある程度の傷は割り切ってみては如何でしょうか。

おすすめのオンライン時計修理サービス

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